↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/7

与えられた希望

俺が目を覚ますと、そこは薄暗い部屋の様な所だった。手足は縛られ椅子に座らされていた。よく目を凝らすともう一方に椅子に座った人がいた。


「目が覚めましたか。12時間ぶりでしょうか?」


聞き慣れた様な声を聞き俺は声を出す。


「お、お前、、、!っが母さん達を、、、!ゴホッ、ガホッ」


しかし俺は自分の声が思うように出せなかった。そこで俺は自分が死にかけなんだと理解した。腕と足が骨折している。喉は潰れていて、ろくに見えなかったのは目が腫れていたのだった。耳もよく聞こえない。


「はぁ、あなたはそうやってまた身勝手になるんですか?少しは冷静さと言うものを覚えた方がいいんじゃありませんか?」


その声をもう一度聞いた時俺は怒りで目の前の女、いや女神を睨んだ。内心そうだとは思っていた。俺が自分勝手にしたから、もし俺がしていなかったら、どうなっていただろうか。


「ッゴォ、だ・・・まれェ。俺の、、、俺の、か、ぞく達に何をしたァァァァ!」


俺は怒りで喉から血を吹き出しても叫んだ。怒りが憎悪が俺の身体中の血を沸騰させた。俺は全力で暴れたが無情ながら俺を縛っているものを破る事が出来なかった。


「勘違いされていますが私はあなたの御家族方には手を出していません。勿論あなたにも危害を加えてはいません。私はただあなたを安全な所に移して上げただけです。まあ御家族方はもう手遅れの様ですが。」


「何を、、、言う。後悔、する事になる、ガハッ!、と言ったのは、お前だろうっ、、、」


「それは言いましたが、それはただ単に精神の病を治せないという意味ですよ。」


「それじゃあ、、、俺たちをやったのは、誰、、だっ!」


「ハーメズ。それはこの日本で最大の闇組織であり、上部の情報は一切漏れない厳格な集まりでもあります。」


女神はやけに説明口調で、その質問を知っていたかの様に答える。


「ハーメズって・・・あの魔王のことか・・・・!?」


「今は関わりがあるかどうかは分かりませんが、何せあなたの前世の世界の魔王と名が一致しているのは偶然ではありませんね。」


俺が転生する前の世界で最も名が知られていて最も恐れられていた人物『魔王 ハーメズ』。俺が生きていた頃には、まだ正式な勇者は召喚されておらず魔王として君臨していた。


「さて、お分かりいただけましたか?混乱するのは致し方ありませんが中々あなたは冷静になれないものですね。」


「お前、茶化してんのか?」


「いえいえ、滅相もない。一旦それは置いておいて今の状況を説明して上げましょう。あなたが可愛そうなので。」


俺は女神を睨みつける。女神はそんな俺の目を見て微笑んで言った。


「まず此処は何処かと言いますと、私、八雲ツクミとしての家です。」


「はぁ?何言っているんだ。此処はどう見ても家じゃないだろう。」


「住んでる所を家じゃないとは心外ですね。確かにここは廃墟ビルの一室です。私は転生したと言えど人類に私がいたという記憶を与えただけで実際は家族も居ません。なのでこうやって空いている所を利用させて頂いているのです。」


「通りで俺の幼少期の記憶にお前がいる訳だ。」


ようやく合点がついた俺に女神は頷く。


「その次にハーメズがあなた方を狙った理由ですが、それがさっぱり分からないのです。」


「お前は神じゃないのか?そんな事造作じゃないだろう。」


「言いにくいのですが私はあくまでニンゲンなので、神だった時の能力は殆ど制限されているか弱体化されています。まあまだ使えるものはありますが。神補正というやつでしょうか。兎に角私はあなたをまだ助ける事ができます。」


死んだ家族と前世の仲間の顔を思いだす。背筋が震え死に怯える。大切な者達を失くす恐怖が俺を襲いだす。何度も味わった体験、目の前で消えてしまう空虚な心。キュッと心臓がきつくなる。


「俺は・・・どうしたらいいんだ・・・・?また大切な人を失って生きる意味が無いし生きる気力も無い。大人しくお前の話を聞いていたが結局ハーメズについて出来る事もない。もう嫌なんだ。」


女神は細い目で何かを見る様な動きをして、そして女神はにやりと笑い、


「それでは早速そんなあなたに希望を差し上げましょう。あなたの妹、ミカは生きています。そして私が役目を終え、神に戻ったら天界と審議をしてご両親を生き返らせる事が出来るかもしれません。」


俺は両目を見開く。確かにミカの死体は無かった。もし、まだミカが生きているのなら俺はこの世界で生活する事が出来るのかもしれない。しかも親が生き返る可能性がある。


「生きているのか!ミカはどこにいる!」


「そこまでは分かりません。しかし、ミカさんの生力がまだこの世界にいるのは間違いありません。多分ハーメズに攫われたのでしょう。」


今の俺にはハーメズの様な大規模な組織が俺達を襲ったのかは分からない。そんな闇組織に関わりたくもない。だが最愛の妹が攫われているなら話は別だ。


「ミカを、ミカを取り戻しに行く。」


女神は嬉しそうにしていた。


「分かりました。私もついていきましょう。元々あなた、いやアキトさんを“救う”為に来たのですから。生きる理由ができて良かったです。」


「いいや、お前はついてこなくていい。」


女神がビクッと反応する。そして直ぐに普段の様子になり冷静に聞いた。


「理由を聞いても宜しいでしょうか?」


「まず一つ、お前の話の信憑性が怪しい。俺の経験上命が関わるものに嬉々として入り込む奴は居ない。さっきの言葉を聞いてそう思った。そして二つお前この事件の事知っていただろう?」


「流石、Sランク冒険者をやっていただけありますね。そう、私はあなたに降りかかる災難を知っていた。しかし、私が知った時には、もう手遅れだったのです。そして私の話も本当です。信じて下さい。」


女神はいつもはしない感情のこもった声で言った。俺は女神の薄く閉じられた目を見る。


「俺はお前の事は信用していない。しかし、その話を嘘だと決めつけるより、やった方が良いと思っている。それは少しお前に信用があるからだ。たとえ嘘だとしても俺の生きる希望になった。それだけだ。」


「と言う事は・・?」


「お前も仕事だ。ついてきてもいい。ただ俺の命令には従い、手助けをする事。そして何より家族を必ず生き返らせる。これだけは絶対だ。分かったか?」


「元々そのつもりでしたので。そして御家族の必ずお助けします。勿論やらせて頂きます。これからも宜しくお願いします。」


俺に対して敬語を使う女神に対して、


「これじゃあ、どっちが神か分からんな。よろしく。ツクミ。」


ーーーーーーーーーーーーーーー

一旦俺達は家に戻った。ハーメズの奴らが居るかと思ったが、そこはもぬけの殻で両親の遺体も無かった。


「うーん、ハーメズの手口は殺した人間を世界から抹消するかのように存在を消しています。多分消えた人間は辻褄が合うように対策されているでしょうね。」


そのため俺は父の職場に電話をかけたが父は退職しているらしいのだ。近所に行くと、どうやら俺達家族は海外に引っ越した事になっているらしい。そして毎回俺がここに居るのに驚かれている。どうやってハーメズが根回ししているのか分からないが、生きている人間に違和感が無いようになっている。誰も居ないリビングで物寂しさを感じる。しかしミカが生きているのと両親が生き返るという希望が俺の心を支えてくれる。対面にツクミが座る。


「悔しいですがハーメズの手掛かりは見つかりませんでした。この私までも欺くとは。」


「しかし何もしないのは駄目だ。一旦これからどうするか決めよう。」


「ええ、そうですね。」


難しい顔をしているとピンポーンと家のチャイムが鳴った。


「誰だ?来る人など居ないが少し見てくる。」


ドアを開けるとそこには一日振りなのに懐かしいような顔があった。


「お前居たのかよ!やっぱりアキトお前引っ越しまだなのか?」


「どう言う事だ?」


「それはこっちが聞きたいぜ。登校中も居なかったし来てみたらアキトは転校するって聞いて、だけど、まだアキトは居るって噂を聞いたからいざ来てみたわけ。そしたら引っ越したはずのアキトがまだ居るし。こっちがどーゆー事だよー!」


俺が説明に戸惑っていると急に頭の中に声がするような気がした。意識を込めて見るとメッセージが聞こえた。俺は焦っていたのか、なりふり構わずそのメッセージの通りに説明していた。


「実は急遽引っ越すのは俺以外だけで俺は残る事になったんだよー。ちょうど今から学校に転校の連絡を訂正しようとしてたんだ。」


「ほんとーにそーかー?怪しーけどアキトが戻ってくるならいいやー。」


ユウキの返答に俺は苦笑いする。

(コイツはいつも適当だな。それが憎めないがな。)


「お前はそれでいいのかよ?ま、俺もアキトが戻ってくんなら文句は無いけどな。」


その後すぐにヒロト達は帰って行った。その後戻ってリビングに居るツクミに言った。


「頭の中に直接話しかけてくれたのはツクミか?」


「うん、そうだよー。私助けるって言ってんじゃん。このくらいは出来るよねー。」


「お前の急にその口調は何だ?」


「いやーアキトも学校に戻るし、勿論私も学校行かないとだからさー。練習してるわけぇ。」


「しかし、そのギャルっぽい口調はお前に合わんぞ。」


「じゃあ、こっちはどうかな。ザ・女子高校生って感じ。」


「それで良いと思うぞ。捻りすぎると俺が気持ち悪くなる。」


そうして俺達の新しい奇妙な学校?生活が始まっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。