表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したけど、ここガチで中世ヨーロッパだった件。  作者: みっちーザッキー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/22

第15話 城壁の揺れ ― 石と鉄の交わる瞬間

お読みいただきありがとうございます。


14話では、

投石機の初撃、複数梯子の接近、重装兵の跳躍、

そして“城壁上の五分間の地獄”が描かれました。


15話ではいよいよ、

ナタリー vs 重装兵の本格戦闘と、

**悠真の現代知識を使った“奪還補助”**が描かれます。


ただし――

これは大軍同士の決戦ではありません。

あくまで「領主同士の小規模な衝突」。

だからこそ一撃の判断が戦況を動かす、

そんな“緊張感の濃い”戦いになります。


それでは本編をどうぞ。


■ 城壁上 ― 石の振動が走る


「悠真!! 下がれ!!」


ナタリーの叫びがまだ空気に残っていた。


投石の衝撃で跳び上がった重装兵が、

城壁の石を砕く勢いで着地する。


ゴッ……!


鎧がきしみ、鉄の巨体が前へ進む。


悠真は足がすくんだ。


(……デカすぎる……

 兵士というより“壁”そのものが歩いてくるみたいだ……)


重装兵の戦槌が大きく振り上がる。


ナタリーが剣を構え、間に立つ。


ガァン!!


火花が散り、石畳が割れた。


「下がって!! ここは……私が……!」


ナタリーの声は震えていない。

けれど腕は確実に押され、足は石に食い込んでいた。


リナが叫ぶ。


「ナタリー!! もたない!!」


その時だった。


城壁が再び揺れた。


■ 足元の崩れ ― 敵の重さが石を砕く


ズドォン……!


投石機の“誤射”が、敵側の近くに落ちた。


重装兵が一瞬だけバランスを崩す。


(……今だ……!

 ここ、落とせる……!)


悠真の脳裏に、大学で見た

“古代戦の城砦戦術”の映像がよぎる。


――「兵の足元を崩すのは、攻撃ではなく“重さ”。」


悠真は叫んだ。


「石! 積み石を投げろ!!

 足元に!! 重さでバランス崩せる!!」


兵士が振り向く。


「な、なんだと!? そんな――」


「いいから!! 今しかない!!」


リナが震える手で石を拾い、投げた。


他の兵も続いた。


ガッ、ゴッ……!!


重装兵の足元に石が当たり、体勢がぐらりと傾く。


ナタリーが歯を噛みしめる。


「……助かった!!」


剣が閃き、

重装兵の膝裏へ渾身の横薙ぎ。


ガンッ!!


重装兵が、“巨木が倒れる”ようにゆっくりと沈んだ。


ゴォン……!!


その音で敵兵の手が一瞬止まる。


■ 梯子の軋む音 ― 圧力が寄せる


しかし油断は一秒も許されない。


梯子の軋む音が再び迫ってくる。


ギギギ……ギギ……


悠真が叫ぶ。


「梯子!!

 登ってくる数が増えてる!!」


ナタリーが剣を構えたまま怒鳴る。


「悠真! 鉤竿を!!

 リナ! 後ろの兵の補助を!!」


二人は動いた。


(……怖い。

 だけど動かなきゃ……みんな死ぬ……)


悠真は鉤竿を握り、

梯子の上から伸ばしてくる槍を払いながら押し返す。


リナは倒れた兵の足を引きずり、補助兵に渡す。


「行って!!

 まだ動ける人を前に!!」


彼女の声は震えているのに、強かった。


■ 風を裂く音 ― “一瞬”の判断


その時だった。


ヒュッ……!


空気の細い裂け目。

矢でも石でもない。


――火矢。


敵が混戦ごと焼き払おうとしていた。


狙いは、

悠真のすぐ足元に置かれた油袋。


(……やばい……!)


動くより先に声が出た。


「火だ!! 砂袋!! 砂!!」


ナタリーが反応し、

リナが、さっき運んできていた砂袋を引き寄せる。


バサッ!!


火矢が油袋をかすめた瞬間、

リナが砂を浴びせ、火は広がらずに消えた。


「っ……はぁ……!!」


リナの肩は震えていた。


悠真は叫んだ。


「ありがとう……! マジで助かった!」


リナは真っ赤になりながら怒る。


「死なないでよ!! ねぇ!!」


しかし戦いは止まらない。


■ 一瞬の静けさ ― 奪還への準備


投石が途切れた。


敵の重装兵が倒れ、

梯子の一本が押し返された瞬間、


城壁上に、

ほんの“数秒”の静けさが生まれた。


ナタリーが息を整えた。


「……悠真。

 さっきの判断、助かった。」


悠真は握った鉤竿を見つめながら答えた。


「……ここで死ぬわけにいかないからな。

 まだ……やれることがある。」


リナも息を吸う。


「……三人で……立とう。

 ここ……絶対……渡さない。」


その決意を裂くように、

敵の角笛が再び鳴った。


ドォーーーン!!


梯子が、新たに三本持ち上がる。


(……来る……

 でも……さっきより“落とせる”。

 絶対に……落とせる!)


そして、


三人が初めて“揃って”戦闘態勢に入った瞬間だった。


──奪還の時間が、始まろうとしていた。


15話では、

**重装兵との交戦と、梯子の再襲来、

そして悠真の現代知識による“補助的な戦術”**を描きました。


・「足元への質量攻撃」という戦術的発想

・ナタリーの剣技

・リナの砂袋での火矢阻止

・三人が初めて“戦闘で息を合わせた”瞬間


第一次ルヴァン防衛戦はまだ序盤。

けれど、ここから物語の核である

“3人の戦い方”が形成されていきます。


次回は、

城壁上の奪還戦が本格的に動き出す回になります。



■ 史実補足


(※今回は“使った現代知識”に沿って要点のみ)


◆「足元を崩す」戦術

古代~中世の攻城戦では、

重装兵や巨体の兵士に対し

“打撃より足元を崩す方が有効”とされる。

力より重心操作が効果的なのは現実の格闘術にも共通。


◆ 火矢と油

火矢+油は古典的だが、

投げられた瞬間に砂で消す方法は

ローマ軍・イスラム軍の史料にも存在。


◆ 小規模戦の梯子戦

「十本前後」は領主間の衝突として妥当。

大規模戦ほどではないが、恐怖は十分すぎる

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ