13-5・ホブゴブリン討伐
「やあっっ!!」
「・・・えっ!?」
もうダメだと思った僕の目の前に、逃がしたはずの真田さんが飛び込んでくる!
「ピークエクスペリエンス発動!」
ホブゴブリンは、狙いを真田さんに変えてモーニングスターを振り下ろした!ゾーン状態の真田さんは紙一重で攻撃を避け、モーニングスター先端のトゲトゲ鉄球が地面を抉る!
「尊人くんのバカっ!悲劇のヒーローぶるなっ!」
ホブゴブリンの懐に飛び込んだ真田さんが、ホブゴブリンの腹に両掌を押し当てた!
「真田さん・・・なんで?」
「あたしは、守ってもらうつもりで付いてきたんじゃないっ!」
真田さんの掌から発せられた電流が、ホブゴブリンの全身に流れる!
「ガルルルルルッ!」
感電状態に陥ったホブゴブリンが悲鳴を上げて苦しんむ!だけど、苦しみながら動いている!ゴブリンとは違って簡単には制圧できない!
「あたしの有りっ丈を使ってコイツを動けなくしてやるっ!」
真田さんがホブゴブリンに電流を流し続ける!
「だから・・・尊人くんが、やっつけてっ!」
ホブゴブリンは耐えながら、モーニングスターを振り上げた!真田さんを叩き潰すつもりだ!
「わぁぁっっっっ!!守るって決めたんだっっ!!」
頭の中が真っ白になる。その先の行動は無意識に近かった。
革の盾を拾って駆け、真田さんに覆い被さるようにして、頭上に掲げた盾でボブゴブリンの振り下ろしたモーニングスターを防ぐ!「腕が折れたのではないか?」と感じるほどの衝撃が盾から全身に面わって脳が痺れる!
「ガル・・・ルル・・・ル」
ホブゴブリンの声が力を失う。どうやって攻撃したのか覚えていない。気が付いた時には、先生の剣でホブゴブリンの喉を貫いていた。ホブゴブリンが握っていたモーニングスターが地面に落ちる。
「・・・やっつけた?」
力を使い切った真田さんが両膝を地面に落とす。続けて、ホブゴブリンが仰向けに倒れる。最後に、盾越しにホブゴブリンの一撃を受けて意識を朦朧とさせた僕が、真田さんに凭れ掛かる。真田さんには僕を受け止める余力が無かったので、押し倒されるようにして一緒に倒れた。
真田さんの体温を感じる。呼吸を感じる。ちゃんと生きている。
「ご、ごめん・・・真田さん、すぐ退く・・・からね」
意識を保ち、真田さんから離れて仰向けになる。だけど、もう1匹残ってることを思い出して立ち上がった。
「・・・あれ?」
ゴブリンはいなかった。ボスを倒されたので逃げ出したようだ。倒れているホブゴブリンは、首が半分くらい切れていて、もう動かない。でも、僕には、意図して首を狙った記憶は無い。
「ホントに僕がやった?」
実感して恐ろしくなって体が震えた。
何がどうなって勝てたのか、うろ覚えの記憶を辿る。必死になって真田さんを守った直後、丸出しになっているホブゴブリンの首が見えたような気がする。
ホブゴブリンは電流で麻痺状態にされながら、無理矢理に体を動かして真田さんを退けようとした。その結果、急所がガラ空きになったのかもしれない。
「・・・真田さん」
真田さんは傷1つ無い。でも、本当に「有りっ丈」を使ってしまったらしく、疲れ果てて意識を失っている。
「・・・君、すごすぎるよ」
探索と戦闘で汚れているんだけど、とても綺麗な顔に感じられる。愛おしく思えて触れたくなるんだけど、あとで「あたしが寝てる時に触ったでしょヘンタイ!」とかって言われたら困るので我慢する。
「いてくれて・・・本当にありがとう」
起きている時に改めてお礼は言うつもりだけど・・・
今言っても聞いてもらえないのは解ってるけど・・・
僕は感極まって、真田さんに感謝を伝える。
ねぇ、力石先生。ねぇ、柴田くん。
僕と真田さん、ホブゴブリンに勝っちゃったよ。凄いでしょ。
現実世界に戻ったら、自慢しても良いよね?
中途半端なシーンだけど、これで第二章に該当するストーリーが終了です。




