↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
69/76

12-4・僕の初勝利(?)

 ちょっとヤバそうな葉っぱだけは指定数量だけ袋に詰め、紐で口元をしめる。


「袋、パンパンだね」


 柴田くんと一緒に薬草集めをしていた頃は、2つの依頼を同時に進行しても袋一つでも充分に余裕スペースがあった。今日は久しぶりの活動だったので、慣らす為に1つの依頼しか受けなかったのに、僕と真田さんの袋が両方ぎゅうぎゅう詰め。しかも、そこそこ重い。振り回したら武器になりそうだ。


「真田さんってO型?」

「A型だよ。急にどうしたの?」

「Aっぽくない」

「よく言われる~~。尊人くんは?」

「A型」

「典型Aだね」

「うん、よく言われる」


 小柄な真田さんが大きな袋を担いで、剣を抱える姿を見てられない。「どっちか預かる」と言ったら剣を渡してきたので受け取って、代わりに「護身用」と言って大きなナイフを渡す。


「尊人くん、いつも剣とナイフと斧と丸い盾を持って重装備にしてるよね」

「うん、斧は枝を落とすのに便利だし、

 ナイフと盾は、この世界で最初に装備したやつだから、なんか捨てられなくて」


 僕はそこまで話して気付いた。・・・というか、今まで気付けなかった自分の頭の悪さに気付いた。


「そのナイフ、真田さんにあげるよ」

「えっ?大事なナイフなんでしょ?」

「僕、ナイフは全然使ってないし」


 真田さんの小柄な体格と華奢な上半身では、剣をまともに振れない。せっかく、ピークエクスペリエンスという特殊能力を持っているのに、これでは使いこなせない。モンスターの攻撃を見切って懐に飛び込み、ナイフで攻撃する。どう考えてもこれが正解だ。まぁ、真田さんに「モンスターにトドメを任せる」をさせるつもりは無いけどね。


「・・・ん?」

「・・・あ」


 森から平原に出たところで、豚顔の変質者5人と遭遇。言うまでもなく“豚に似ているだけの普通の人”ではない。


「オークっ!」


 一瞬、「逃げる」が脳内を過ぎったが、大きい袋2つを放棄しなければ、満足に逃げられないだろう。それに、購入した本には「オークは気が弱い」「絶対に勝てると思った相手しか襲わない」と書いてあった。


「試したい攻撃がある!・・・真田さん、ここで待機してて」


 僕は、真田さんの剣を真田さんに預け、オークを睨み付けながら前に進む!


「うおぉぉぉぉっっっっっっっっっっっっ!!!」


 薬草がパンパンに詰まった袋の紐を力強く握り、遠心力をかけてブンブンと振り回し、威勢良く気勢を上げてオーク目掛けて突進!


「ピギィィィィッッ!!」×5


 袋の中身が「ただの薬草」とは思わなかったのだろう。オーク達は僕の気迫に気圧されて逃走をする!


「うおぉぉぉぉっっっっっっっっっっっっ!!!」


 僕は追い回す!オークは悲鳴を上げながら散り散りになって森の中に逃げ込む!

 なんか、オークが可愛そうで、弱い者イジメをしている気分になってきたから、一定の距離まで追い散らしたところで追撃を止める。袋を振り回して走っただけなんだけど、そこそこ疲れた。


「尊人くんっ!大丈夫なの!?」

「うん、大丈夫!」

「よかったぁ~~!」


 モンスター戦で初勝利(ペイイスの村では柴田くんのおかげ)をした僕の所に、真田さんが駆け寄ってきた。


「尊人くん、急に奇声を上げて暴れたから、

 ヤバい薬草の所為で頭がおかしくなったのかと思ってビックリしちゃった」

「・・・・・・・・・・・・・・・」


 勇気を振り絞ってモンスターに挑んだつもりだったのに、真田さんには「気が狂った」と思われてしまったみたい。あーゆー勇ましいの(?)は、僕のキャラに合わないってことなのかな?


・

・

・


 一個しか依頼をクリアしていないので、報酬は少ない。だけど、所持金はあるし、「なんとかなりそう」と自信は付いた。何よりも、いつまでもホーマン邸でお世話になっているのは心苦しい。

 真田さんに相談したら同意見だったので、夕食の席でボウィンさん(ホーマン夫人)に「お屋敷を出て宿で生活をしたい」と打ち明けた。


「チート様のご友人なのですから、遠慮など無用なのに・・・」


 シリーガルさんとバクニーさんは驚き、ボウィンさんは「居て欲しい」と言ってくれた。

 安藤さんは「ならお言葉に甘えて」と残留を決めた・・・と言うか、ハナっからお屋敷から出る気無し。


「ありがとうございます。でも僕、自力で生活したいんです」


 本音は、智人(トモ)に甘えっぱなしが嫌だったから。そして、智人(トモ)の監視下みたいで息苦しかったから。智人(トモ)が遠征に行ってフリーになれたことで、それがハッキリと解った。

 僕は智人(トモ)の保護下で、のほほんとセイの町に永住をするつもりは無い。クラスメイトを集めて、現実世界に帰りたいんだ。


「真田さんはホーマンさんのところに残っても良いんだよ。

 その方が安全だし・・・」

「さっきも言ったでしょ。あたしは尊人くんの考えに賛成だよ。

 ボウィンさん、今までありがとうございました」


 真田さんは引き止められて迷っていたけど、僕がハッキリと意思表示をしたら同調してくれた。


「智人(トモ)・・・え~っと、チートが帰ってきたら、改めてお礼に来ますね」


 直ぐに宿を探すつもりだったけど、バクニーさんが「もう1日くらいは泊まれ」と引き留めてくれたので、明日の朝までは甘えさせてもらうことにした。


・

・

・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。