↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
68/76

12-3・クエスト再開

 僕と真田さんは、智人(トモ)が出動をした翌日から、冒険者ギルドで仕事(薬草採取の依頼)をもらって、町から少し離れた森の散策を開始した。「智人(トモ)が居なくなった途端に羽を伸ばしている」みたいな印象だけど、タイミング的にこうなっただけ。元々、冒険者(の真似事)をするつもりだった。

 まぁ、「智人(トモ)に引っ張り回されなくなって時間に余裕ができたから、ギルドの仕事をしている」という結果論込みで似たようなもんだけど。


「え~と、先ずは体力増強のキノコ・・・草じゃないけどね」


 キノコなんだけど薬草の本に記してある。この辺に関しては、本がアバウトなのではなく、僕達が勝手に「薬草の本」と呼んでるだけで、薬になる植物が一通り記されている本なのだ。


「確か松に似た木・・・え~~~と名前は・・・」

「木の名前は松でいいんじゃね?」

「松っぽい木の根元に・・・」


 木の種類に関しては、松にしか見えないんだけど、この世界では違う名前が付いているので、気を使って「松に似た木」と表現したが、真田さんに却下されてしまった。


「あった!このキノコだ!」


 依頼の指定数量は5本だったけど、真田さんは目の前にある全てを獲得してしまう。


「そんなに要らないでしょ?」

「冒険者ギルドの人に『要らない』って言われたら、

 持って帰ってご飯に入れて食べようよ」

「松茸っぽいゴハン?」

「そこは『松茸ご飯』でいいんじゃね?」

「松茸かどうか解んないよ」

「薬草なら、食べても死ぬことはないよね」

「まぁ・・・そうだね」


 どういう効能が有るのかは不明だけど、体力増強の材料なんだから、食べれば元気にはなれそうだ。


「次はね、ワレモコウっぽい草」

「生えてるのは日当たりと風通しが良い場所だね」

「さっすが、生物が得意な真田さん。本見なくても解っちゃうんだね」


 直ぐに発見。50本くらい得れば良いんだけど、真田さんは手当たり次第に引っこ抜いてしまう。


「松茸にワレモコウ・・・今は秋なのかな?

 あたしの体感だと、秋って感じがしないんだよなぁ~」

「この世界に春夏秋冬なんてあんのかな?

 現実世界で天動説が信じられてた頃ってさ、

 季節ってどう解釈されてたんだろうね?」

「急にどうしたの?」

「この世界は『天動説を採用してる』説を予想しているんだけどどう思う?」

「なんで天動説?」


 僕は真田さんに「地平線が無い」と「天動説」or「超巨大惑星説」を説明する。


「なにそれ~、その説、面白いっ!

 常識的には有り得ないんだけど、この世界自体が非常識なんだもんね。

 でもさ、そうすると、この有り得ない世界は何なんだろうね?」

「誰かが作った世界?」

「何の為に?」

「解らない。・・・・・でもね」


 リターンで見た「クラスメイト全員が仮死状態の教室内」を思い出す。力石先生がいない今、現実世界の状況を知っているのは僕だけ。真田さんを連れて行って見てもらえば、もっとハッキリと「この世界の仮想じみた感覚」を理解してもらえるだろう。


「どうしたの、尊人くん?急に黙っちゃって」

「ごめん、ちょっと考えごとしちゃった。

 今は時間が限られてるからダメだけど、今度、連れて行きたい所があってね」

「どこどこ?夜景と星空が綺麗に見える場所とか?」

「・・・ん?」

「夜のセイトータワーに連れてってくれるの?」

「ああ・・・まぁ・・・セイトータワーなら、いつでもいいけど」


 確かに、夜のセイトータワーに登れば、セイの町の夜景が一望できそうだ・・・が、どこで「わざわざ夜にセイトータワーに行く話題」に変わった?


「あっ!発見!あの草だ!」


 雑談をしながら移動をしているうちに、次の薬草生成地に到着。またもや、真田さんが欲張って、指定数量以上を獲得する。次の薬草も、その次の薬草も、真田さんは「目の前のある分を丸ごともらう勢い」で獲得した。

 前々から気付いていたけど、真田さんの方が粗いというか、僕より漢(おとこ)っぽい。


「うわぁ~・・・露天で薬草屋さんができそう」

「尊人くん、ナイスアイディア!空き時間でフリマやろっか?」

「・・・冗談で言ったつもりだったんだけど」


 本日のクエストは、あと1種類を得れば終わる。獲得順を最後にした理由は、森の中の、やや込み入った場所に生えているから。つまり、モンスターとの遭遇率が高いから。


「真田さん、ここからは今まで以上に警戒してね」

「うん」


 気楽に雑談をしていた今までとは違って、小さい斧で枝葉を払い落としながら慎重に進む。


「あった、あの草だ」


 僕は周囲の警戒を担当して、真田さんが草を採取する。指定数量は30本だが、真田さんは今までと同様に欲張って採取する。


「そんなに取ってどうすんの?」

「フリマで売るか自分で使う」

「どっちもダメ」

「なんで?」

「その草、法違反的な種類のやつ」

「ホウイハン?植物にそんな分類の名称あったっけ?」

「植物の分類じゃなくて、犯罪的な分類ね。

 日本だったら、持ってたり使ったり育ててたりしてて、

 『逮捕』されたってニュースでやってるやつ。

 そんなの使う気なの?指定数以外は置いていこうよ。

 この国なら禁止されてないかもしれないけど、ちょっと罪悪感が・・・」


 体力増強のキノコを食べて、ラリパッパになる葉っぱなんて使ったら、なんか色々と大変なことになりそう。


「そ、そうだね。・・・やめとこうか」


 真田さん、欲張りで粗っぽいことがあるけど、ちゃんと解ってくれた。僕より漢(おとこ)らしいんだけど、僕がちゃんと説明をすると受け入れてくれる。だから、一緒にいると安心できて、とても話がしやすい。

 たま~に、裏腿を蹴られたり、フライングニードロップ喰らったり、電流を流されることもあるけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。