↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
55/76

9-5・英雄が下す審判

 逃げようとした目黒くんを白騎士が取り押さえて、僕と智人(トモ)の前に引き摺り出す。


「チートっ!俺が悪かった!なんでも言うことを聞く!命だけは助けてっ!」

「後ろ盾が無くなった途端にそれかよ?相変わらず無様だな」


 智人(トモ)は呆れ顔をしている。僕は目黒くんが憎い。ちょっと前までは、本気で「殺してやりたい」と思っていた。でも、命乞いをしている姿を見ていると、可哀想に思えてくる。


「ねぇ、智人(トモ)。反省してるみたいだし、許してもいいんじゃないの?」

「俺の富醒(フセイ)は、転移した奴等の位置を把握できる!役に立つだろ!

 俺とチートが組んで仲間を集めれば、パルー騎士団の無双状態だ!」

「へぇ・・・そのスキルで尊人(ミコ)を探したり、俺の接近を把握できたのか。

 確かに便利だな。それさえあれば、仲間が簡単に見付かる」

「だろっ!」

「目黒さ、尊人(ミコ)に興味深い説を言ってたな。

 『デスゲームの方略法』・・・反対意見を淘汰する・・・だっけ?

 真っ先にそこに気付くなんて、さすがはゲーム好きだな。確かにその通りだ」

「・・・お、おう。チートの富醒があれば余裕だろ?」

「聞くまでも無く、俺と目黒は同じ意見だろうな」

「そうそうっ!俺を減らすのは、チートにとっては損失だっ!」

「うん・・・目黒の言いたいことは解った。・・・だが、関係無い」

「・・・・・・・・・・え?」×2


 驚いた僕と目黒くんが、同時に智人(トモ)の目を見る。


「無力のクセに、青騎士の力を自分の実力みたく振りかざしてイキってたよな。

 俺さ、目黒のあーゆー態度、大っ嫌いなんだ」

「・・・チート?」

「確かに目黒の富醒があれば、転移した奴等を集めやすくなる。

 だけど俺には必要無い。集める必然性が無い。

 俺の仲間は尊人(ミコ)だけで良い」

「・・・智人(トモ)?」

「目黒の命運はな・・・

 青騎士を俺に差し向けた時点で・・・

 いや、尊人(ミコ)を嬲り殺そうとした時点で尽きているんだ」

「智人(トモ)っ!ちょっと待ってっ!!」


 僕は反射的に智人(トモ)と目黒くんんの間に入って止めようとした。目黒くんは慌てて逃げ出す。


「ひぃぃっっ!」

「富醒・イメージ!アスフォデルス!!・・・冥府に沈め!」


 だけど、智人(トモ)は容赦無く特殊能力を発動させた。


「ひぃぃぃぃぃっっっっっっっっ!!」


 目黒くんの周りの地面が液状化をして、目黒くんの体が沈む。


「いやだっっ!助けてっっ!!」


 液状化した地面から蔦が伸びてきて目黒くんに絡み付き、必死で抵抗する目黒くんを更に沈める。


「尊人(ミコ)が味わった恐怖を思い知りながら逝け!」

「智人(トモ)っ!僕の仇討ちは、もう考えなくて良いからっ!」


 僕は沈んでいく目黒くんに手を伸ばした。だけど、僕の手が目黒くんと交わることは無く、目黒くんは地中に消えた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・めぐろ・・・くん」


 僕は、目黒くんが沈んだ地面に両膝を付き、呆然とする。さっきまで液状化していた土は、今は普通の硬い土に戻っている。


「尊人(ミコ)は優しすぎる。君は目黒の性根を解っていない。

 許せば必ず災いになる。・・・ずっとそうだったからな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 僕が殺されていれば全てが丸く収まったとは思っていない。でも、目黒くんが惨殺されるのが正解だったとも思えない。


「手を汚すのは俺、背負うのは俺、これが英雄に選ばれた者の宿命だ。

 尊人(ミコ)は気にしなくて良い。甘い考えのままで良い」


 智人(トモ)には感謝している。智人(トモ)と会えたのは嬉しい。でも、今は智人(トモ)が怖くて、顔を見ることができない。


「セイの町に来いよ。俺の屋敷に招待してやる」

「・・・う、うん」


 目黒くんの断末魔の悲鳴が耳から離れない。


「今まで苦労した分、ゆっくり休め」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」


 手で土を掘って目黒くんを救出できるとは思えない。ここに居ても意味が無いのは事実だ。智人(トモ)に促されて立ち上がる。


「君達も来るんだろ?」


 手招きをされた真田さんと安藤さんが頷く。


「さぁ、行くぞ」


 白騎士達に護衛されながら街道に戻る。真田さんや安藤さんも喋ろうとしない。きっと僕と同じで気持ちの整理ができていないのだろう。

 柴田くん、綿本さん、力石先生、今川くん達、青の騎士団、そして目黒くん・・・こんなに簡単に死んで良いわけが無い。僕は、この世界には馴染めない。僕の居場所は、この世界には無い。脳内は混乱したままだけど、それだけはハッキリと解る。


出席番号12番【柴田俊一】・・・脱落

隣のクラス【綿本綿穂】・・・脱落

出席番号34番【目黒明介】・・・脱落

 尊人の危機一髪で智人が登場した感じになってるけど、実は違う。智人は、そのタイミングを待って「真打ちは遅れて登場」を意識している。調子に乗ってポロッと暴露しちゃってるけど、尊人は気付いていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。