第27話
クリスがヴィンセントと友達になった日の夜。ボクはとある問題をベッドの中で考えていた。
ヴィンセントが予定よりも早くクリスと友達になってしまったこと? いや、違う。
それはヴィンセントの容姿だ。
ヴィンセントは今でこそちびだが、第二次成長期を迎えると、同い年のボクが見上げてしまうほどの高身長になるのだ!
ボクは平均くらいだけど、もうちょっとくらい身長が欲しかったのもあって、ちょっと悔しい。
ヴィンセントが牛乳を好んで飲んでいたと聞いて、ボクも試しに牛乳を飲んだり日光に当たったりした世界線があったんだけど、あまり効果はなかった。
(身長を伸ばす魔術も考えたけど、あまり自分の身体を魔術でいじりたくないんだよね……)
せいぜい、幻術や肉体を若くするとか成長を早めるくらいなら簡単だが、肉体の限界を超えた改造は身体に負担をかけてしまう。
(ヴィンセントの成長期は十二歳から。ヴィンセントほどになれなくても、二センチくらいならまだ望めるはず……)
人生を周回したことで牛乳や日光に頼らない方法で身長を伸ばす方法もこの頭の中に入っている。
(よし、明日試してみよう)
ボクはそう決意し、目を閉じた。
翌日、ボクの下に遊びに来ていたウォルターが、困惑した顔でボクを見上げていた。
「で、殿下……一体何をしているんですか?」
「ああ、これ? 鉄棒にぶら下がると身長が伸びるって聞いたんだ」
ボクは鉄棒にぶら下がっていた。
なんでも、ぶら下がっていると下に引っ張られる力が働いて足が伸びるらしい。
「殿下は身長を伸ばしたいんですか?」
「そうだね、兄さんくらいの大きさにはなりたいな」
成長したボクは兄のオニキスの背にも届かない。たった少しの差だが、せめて兄の背には追いつきたい。
それを聞いたウォルターがなぜか黙ってしまい、何か言いにくそうにしている。
「どうしたの、ウォルター? 何か言いたいことがあるなら言ってごらん?」
「え、でも……」
「大丈夫、怒ったりしないから」
ボクがそう言うと、ウォルターは「じゃ、じゃあ」と控えめに口を開いた。
「ぶら下がって伸びるのは……足じゃなくて腕じゃないでしょうか?」
「………………」
ボクは鉄棒から手を放し、ウォルターの肩を叩いた。
「ウォルター。ボクは自分を見失っていたかもしれない。君が賢い子でボクはとても助かったよ」
「? 殿下のお役に立てたようで嬉しいです」
一瞬、きょとんとしながらも、事情を知らないウォルターは嬉しそうに笑ったのだった。
第27話 ささやかな対抗意識




