21.わたくしが武器になる
その日の夕食は、いつもと変わらず豪華で、料理長の腕も申し分なかった。ただ、コーデリアの皿だけが、なかなか減らなかった。アンリが心配そうに声をかけてくれたが、今夜ばかりは、うまく笑い返すことができなかった。
寝室に戻り、全ての身支度を終えて侍女達が下がると、コーデリアは布団に倒れ込んだ。悔しそうに、枕に顔を埋める。
(わたくし、何もできなかった……)
八歳の体は、あまりにも無力だった。もしもあの時、リンが間に合わなかったなら、もしかしたら自分は今頃、ここにはいなかったかもしれない。
(悔しい……力が欲しい)
あの時愛用していたSCAR——あれさえあれば、絶対に負けなかったのに。それこそ、あんな三人組など、一瞬で片がついていただろう。
だがしかし——悲しいかな、この世界に愛銃はない。VRで銃火器をぶん回しながら駆け回っていた、あのFPSの戦場ではないのだ。あるのは剣と魔法と、この情けないほど小さな八歳の体だけである。
(……じゃあ、どうする)
枕に顔を埋めたまま、ぐるぐると考え続けた。
武器がない。あるのはこの身一つ。ならば、自分が武器になるしかない。
呆れるほどシンプルな、実に脳筋らしい結論だった。
(護身術、習うしかないわね)
なお、この時点においては、自分が一応、風魔法を使えることは、全くもって頭にはなかったのである。
コーデリアは固く決意をして、目を閉じた。
そして翌朝——やはり眠れなかったコーデリアは、またもや目の下にうっすらと隈をつくってしまい、アランから静かに叱責されたのであった。




