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勇者?魔王?いいえ村人です。  作者: 蒼伊悠
二章
25/27

10:『それ』は

本日7話目ぇぇ! もう少しで8話目が書き終わります!!


この話は短いです!!


 迷宮のモンスターは通常、討伐されると時間と共に消滅していく。だが、それは【通常】のモンスターではなかった。


 死してなお、念が、魂ともいうべきものの残滓が残っていた。

 それは己が無力さを嘆いていた。

 いや、己の未熟さで、力を存分に発揮させてあげれない事を悔やみ恨みそして申し訳ないと思っていた。


 次の機会があれば……次の機会等ない。

 それは諦観していた。


 どう足掻いても自分に次などあり得ない。

 肉体を動かしていた核は破壊された。

 自分が宿敵と定めた者とは二度も合間見えないと理解していた。



 「まさか、かの邪龍様がこんな所にいるとは予想外すぎますね。だが、思った通り盟約の制限は残っていた。これならば私達の邪魔は出来ないでしょう」


 キラキラと光る、煙のようなものが人の形に象られるとそれは声を発した。ファフニールから離れたエイファスだった。


 

 「ううん? おやおや、偶々こんな上層に来てしまったらまさか、貴方がいるとは、いやはや運命とやらですかね」


 エイファスはそれを知っていた。自身と同じく【通常】ではなくなったもの。

 力は弱くとも【通常】ではないことからエイファスはそれを認識していたし気にもかけていた。


 しかし、それが死んだ事についてエイファスは何の気なしに感慨も抱いていなかった。


 「何者に殺されたんでしょうかね。全く、邪龍様のお陰で視界が寄せられてしまう」

 エイファスは迷宮の主の為、迷宮全体にエイファスの瞳は存在する。だが、ファフニールという強烈な存在が迷宮に現れてからというものエイファスの瞳はファフニールを無視することが出来ずに全神経をファフニールにのみに吸い寄せられていた。


 エイファスが他を見ようと意識しても量り知れぬ存在感に自然と瞳が向けられるためエイファスはもう諦めていた。



 ……生きたい……死にたくない。


 エイファスの姿を見たそれは思わずそう願った。

 誰にも聞こえる事のない思念。


 「君は生きたいのかい?」

 

 だが、アンデッドモンスターの迷宮の主であるエイファスには届いた。


 「ふむ、珍しいね。モンスターが死した後もここまで強烈な自我を遺すとは……君は生きて何をしたいんだ」


 エイファスにそれは応える。


 戦いたいと、強くなりたいと。弱いからあの者をガッカリさせてしまったと感情の奔流がエイファスへと流れ込んでくる。


 「フフフフ、フハハハ。なんだこれは、これが獣が抱く感情かい、いいよ。面白いじゃないか。君も計画に加えてあげるとしよう。そうすれば君はもう一度戦えるよ。ただ、指示には従ってもらうけどね」


 それでもよければどうだいと、エイファスはそれに囁く。


 今一度戦えるならばとそれは悪魔のごときエイファスの囁きに頷いた。



 「はは、交渉成立だね。黄泉還らせるとしようか」

 エイファスはそれの亡骸に牙を突き立てる。

 そして、自身の血をそれに流し込んでいく。


 エイファスが牙を離してから数秒の後にそれは大きく脈動した。

 残滓はそれの亡骸に吸い込まれ、それは目を開く。

 

 手を動かし状態を確認する。

 問題なく動く手にそれは頷く。


 「どうやら動けるようになったようだね。ただ、残念ながらその傷は消せないよ」

 それの胸には横に刻まれた一の傷と核があった場所を小さな空洞が出来ている。

 だが、それは構わないと頷く。


 この傷が己が無力の証明であり戒めでもあると、それは考えている。


 

 「そうそう、後は君にこれをあげよう」

 エイファスは紫色の脈動する何かをそれに差し出す。


 「君は一度これを使ってる。二度使うと生きれるかは微妙だけど、君は勿論貰うよね?」 


 『それ』は、鼓動をするかのように脈動する紫のそれを知っている。矮小だった自分が一段階進化する切っ掛けをくれたもの。あれをもう一度手にすれば更なる力を手にすることが可能かもしれない。


 今度こそ死ぬ可能性、そんなものを考えずに『それは』紫色の何かを手に取る。


 大きく口を開き、

 ____ゴクリ。


 『なにか』を喰らった『それ』は体を巨体を痙攣させる。『なにか』が放つエネルギーの奔流を己に取り込もうとしつつ、自我を失わぬように『それ』は堪え忍んだ。


 『…………』

 佇む『それ』が纏うオーラが変化していた。より一層重く強力なものへと進化している。その様子を見てエイファスは笑う。

 「はは、これは嬉しい誤算だ。まさか二つ摂取するだけでここまで変わるとは。はは、これならば十分な力を持っているね」


 エイファスは『それ』に手を差し出す。


 「私はエイファス。君のボスをやらせてもらうよ。宜しくね」

 エイファスに握手を求められても『それ』は答えられない。

  

 「ああ、そうか。君には名乗り返す名前がないのかそうだな……かつて、魔王様に付き従っていたミノタウロス族の英雄の名を貰い、アステリオスとしよう。どうだい? 気に入ってくれたかな」

 『それ』は、アステリオスは気に入ったと大きく頷く。


 「なら、よかった。じゃあ君には僕に従ってもらうからな」

 アステリオスはエイファスが差し出した手を強く握った。



 





後1話か2話は書き終わりたいですね!!!!


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