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勇者?魔王?いいえ村人です。  作者: 蒼伊悠
二章
24/27

9:迷宮の主

本日6話めぇぇぇぇ!!


今回は視点が変わったりします。


誤字報告何件か教えてくださりありがとうございます。出来る限り減らしていきたいんですけど、申し訳です!


 「ふにゅ……ふわ~。よく寝たのじゃ」

 眠りから目覚めたファフニールはあくび共に大きく伸びをする。


 「ぬ? ここは何処じゃ?」

 ファフニールは二度三度とキョロキョロと左右を見渡す。

 自身が居たはずの武骨な石に囲まれ、住居にしていた洞窟と似た雰囲気を放っていた20階層とは明らかに違う水晶に囲まれた空間。見知らぬ場所へと来ている事にファフニールは気づく。


 「カイトは……ふむ、生きてはおるの。これは、我がはぐれたいや、拐われたということか」

 灰人と魂で繋がっているファフニールは生死が分かる。同時に灰人がどこら辺にいるのかも朧気ながら把握出来ている。

 


 「まぁ、よいわ。我がカイトを察知できるようにカイトも、我を見つける事ができるじゃろ。それまでは楽しませてもらうのじゃ」


 ファフニールは獰猛な笑みを浮かべる。

 化物本来の笑みを浮かべるファフニールへと無数のアンテッドモンスターの群れが囲む。


 「人間のカイトには見せれない相貌も存分に見せてくれるわ!!」

 ファフニールの両腕を黒い鱗が覆い硬質化していく。


 「はぁぁぁぁぁ!!」

 龍の腕となった両腕をファフニールは無数に沸き続けるモンスター達に叩きつける。


 衝撃音と伴に前方にいたモンスターが消え去る。

 たった一撃でファフニールの半径数メートルにクレーターが刻まれた。


 モンスターを拳で圧殺した感触にファフニールは体を震わせる。


 「よいのじゃ、よいのじゃ。まだまだ沸くとは最高じゃのう」

 ファフニールは頬を蒸気させて、モンスターの大群に突っ込む。

 そこからは一方的な虐殺だった。

 ファフニールが拳を一薙ぎすれば巻き込まれたモンスターは死ぬ。モンスターはファフニールに触れる事も出来ずに次々と数を減らしていく。


 モンスターが沸き上がるよりも、消滅させられる数の方が多く、徐々に数を減らしていく。

 

 それに気づいたファフニールは一気に興奮が冷めていくのがわかった。モンスターの一匹一匹の力は遥かに劣っている。だが、無限に沸き続ける事が可能ならばいずれ訪れる疲弊により、ファフニールは苦戦を強いられる事もあったかもしれない。いや、ファフニールはそれを期待していた。一方的な虐殺等面白味がない、人間が愚かにも下に見ている虫を殺して悦に浸る事がないように、目の前のモンスターのレベルはファフニールにとっては虫と同義だ。単体での興味などはなかった。


 だからこそ、無限に沸き続けるという一点にのみ期待していたのだがその期待が敵わぬことはファフニールは理解している。


 「まぁ、よい。まだまだ先があるようだし、そっちで楽しむのじゃ」

 ファフニールの視線は水晶で囲まれたこの空間の壁にある2つの穴に向けられていた。


 「はてさて、我をここに連れてきた者は何の目的なのか……」

 「……いいかげん……し……こい!」

 「____む?」


 2つの穴の右側から漏れて聞こえてきた声にファフニールは方眉を吊り上げる。


 「ほぉ、魔法使いか」

 練り上げられていく魔力を察知したファフニールが呟くと同時に洞窟内放たれたであろう焔が溢れるように穴から飛びだしファフニールへと襲いかかる。


 「ほぉ、やりおるわ」

 ファフニールにダメージはないが、僅かに残っていたモンスターが炎に飲み込まれて消滅する。



 「よかった……出口だ……」

 炎を受けても微動だにしないファフニールの前で洞窟から現れる人物の姿が目にはいる。



 「……こども、いきてる!」

 水色の髪をした少女がファフニールを見て目を見開く。

 少女の言葉に対してファフニールは噛みついた。



 「なんじゃと! お主こそ童子じゃろうに!!」

  目の前の少女はファフニールと背丈が変わらない。その者に子供と間違われるのは心外だった。


 「私は、こうみえても大人」

 「我とて夫を持つレディーじゃ!」

 「え、夫? それ、ほんと」

 「うむ! 本当じゃ」

 「それは、すごい」


 少女は自身の見た目から恋愛とは縁がないと思い込んでいるのか、結婚済みだというファフニールに尊敬の眼差しを向けてくる。


 「ふふん、そうじゃろ! お主、わかっておるでないか、名を名乗る栄誉を与えようぞ」

 「名前、私のなまえは、ミリア」  






 

 

 「カイト殿、本当にファフニール殿は下の階層にいるのですか?」

 「ええ、ファフは下にいます」

 ファフニールの姿が消えてから俺とソフィアさんは下の階層へと下っていってる。

 というのも、姿を消したファフニールの加護のお陰で離れていてもどこら辺にいるのかを何となく察知することが出来る。


 ファフニールの姿が感じるのは遥か下の階層だ。


 「恐らくミリアさんも同じ様に下に行ってしまったんでしょうね」

 忽然と姿を消したファフニールとミリアさん。同じ状況で姿を消した二人であるならミリアさんがファフニールと同じ様に下層へと行ってしまった可能性は高い。



 「よかった、カイト殿、急ぎましょう」

 「はい」

 ただ、ソフィアさんには言えてないが問題もある。

 ミリアさんとファフニールが行った先が安全とは限らないって事だ。もし、行方不明者達が意図もなく無作為に罠のようなもので姿を消してしまっていただけなのだとしたら? もし、その先にモンスターいるのだとしたら、そこで一週間もの間ミリアさんが生存するのは厳しい。


 「ファフ頼むぞ」

 状況は此方からは分からない。今一番ミリアさんに近いのはファフニールだ。

 俺は彼女に託すしかなかった。









 

 「そう、ソフィアが、私を探して」

 一方、ファフニールはミリアが探している人物だと気付き、ミリアを助けにきた経緯を説明しおえていた。


 「うむ、そこに我が夫のカイトも来ているのじゃ」

 「その、カイトくんは、ソフィアの知り合いなんだよね?」

 「うむ、かつて出会っていたようであるな」

 ファフニールも龍形態の時にソフィアとミリアと邂逅しているが、灰人のクラスメイトや魔の気配に意識を囚われていたファフニールはその中に紛れ込んでいる者の顔の一つ一つを覚えてはいなかった。



 「そう、じゃあ、来訪者のカイトか」

 「お、覚えておるのか、カイトが最後に会ったのはかなり前と聞いたぞ」

 「覚えてる。ソフィアが、後悔していたのと、来訪者の中で最初に死んだ人物だから」


 「ふむ、そうなのか。それより、お主は一週間もの間モンスターと戦闘を続けておったのか」

 自身が体験した無数に沸き続けるモンスターを一週間もの間倒したのだとしたらミリアはどれだけの力を持つのかと気になった。


 「違う、私は貴方が言ってたようなモンスターが沸くところになんて行ってない。襲ってきてもモンスターの数はそうでもない」

 「なんじゃ」

 「ただ、ソフィアに急いで、伝えないと」

 ミリアは焦った様子を見せる。

 

 「ふむ? どうしたのじゃ」

 「私達を、移動させた、やつ。迷宮の主がいる。その力は危険」

 「落ち着くがよい。我がおる。ゆっくり説明するのじゃ」

 ファフニールの言葉を受けたミリアは語り出す。一週間前から自分の身に起きた事を。



 「私は、ソフィアと離れた、一週間前、目が覚めたら迷宮の最下層とみられる迷宮のボスが住む神殿のような所にいた。そこには私意外にも数十人の人間がいた。そこに迷宮の主と名乗るモンスターが、殺されたくなければ逃げろと言ってきた。私達は逃げた上層を目指して、そした襲いくるモンスターから逃げていたら、貴方とあった」


 「ふむ、なるほどのぉ、その迷宮の主とやらを殺してしまえばよかったのじゃ」

 「無理、あれは、私にはたおせない」

 「ほぉ」

 ファフニールが見たところミリアは人間の中ではましな部類の力は持っている。そのミリアが勝てないという迷宮の主はどれ程の力なのかと興味をひかれる。


 「それに、この迷宮はおかしい」

 「ふむ、カイトも言っておったのぉ、異常があると」

 「そう、異常。迷宮のモンスターがモンスターを食べている。わけがわからない」

 「モンスターがモンスターを食べるのはよくあることと思うがのぉ」

 モンスターとて弱肉強食の世界だ。弱いモンスターは強いモンスターに殺され食べられる。


 「それは、普通のモンスター。迷宮のモンスターが、迷宮のモンスターを襲うのはありえない。食事を必要としていないのに、意味がない」

 「なるほどのぉ」


 「嫌な予感がする、急いでソフィアの所いかないと」

 「そうじゃのぉ、迷宮の主とやらも気になるが、カイトと合流しておくかのぉ」


 「____これは、これは。奇妙なお方がいると思い拐ってみてはとんだ大物が紛れ込んでいたようですね」

 

 ミリアとファフニールが移動を開始しようとした瞬間、左の洞窟の方から声が聞こえてくる。


 コツコツと歩く音を反響させながら姿を現したのは黒いローブに身を包んだ若い男だった。


 「あ、貴方は……」

 現れた男にミリアの顔が蒼く染まる。


 その様子をチラリと見てから、女性ならば目を引かれるであろう美貌を持つ男は笑みを浮かべて会釈する。


 「これはこれは、かの大物様。私はここの主をやらせていただいているエイファスと申します」


 エイファスはファフニールを前にしても余裕の態度でいる。


 「エイファスとやら、貴様はここで何をしようとしておる」

 「悪巧みでございます」

 エイファスは悪びれる様子もなく即答する。


 「人間共を血祭りにあげる悪巧みです。どうです? 貴方様も一緒に来るというのは」

 「ふん、貴様程度の悪巧みなんぞに乗るほど我は落ちぶれておらんわ」


 「それは、私に敵対すると?」

 「さぁの、それを決めるのは我ではないわ」

 「では、あの人間だと」


 エイファスの言葉にファフニールがピクリと反応を示す。

 分かりやすい反応にエイファスは笑みを深める。

 それでいて、わざとらしくやれやれと首を振ってせしめる。


 「なんと、嘆かわしい。ずっと様子を窺っておりましたが、やはり人間に絆されていますとは。かつての貴方様からしたら到底考えられない事だ」

 「我は貴様を知らんからな。して、貴様はどうして姿を見せた」


 「お願いがございまして」

 「お願いじゃと?」

 「はい、私達の邪魔をしないでほしいのです」


 Aランクのミリアが勝てないと断言するほどの力を持つエイファス。そのエイファスですらファフニール相手には敵うことはないと本人が一番分かっている。


 「我が嫌だと言ったらどうするのじゃ?」

 ファフニールはエイファスをからかうようにニヤニヤ笑う。


 「その時はあの人間を全身全霊をもって排除させていただきます」

 「はっ、貴様程度でどうにかなるほど我の夫は軟弱ではないわ。ただ、我を脅そうとしたのは万死に値するぞ」


 「なに、この魔力」

 ファフニールから噴き出す魔力に魔法使いのミリアは汗を流す。それはミリアとは桁違いの魔力量だった。


 「____死ね」

 爆発するように加速したファフニールは一瞬の間にエイファスを殺していた____その筈だった。


 「は、はは。やはり、盟約が残っている様ですね」

 冷や汗を流したエイファスの眼前でファフニールが突きだした拳が止まっていた。否、ファフニールが止めていた。



 「なるほどのぉ、貴様、魔王の手の者か」

 ここに至ってファフニールはエイファスがどこに所属しており、何故自分の事を知っていたのか理解した。 

 


 「そうです。貴方様はかつて魔王様と一つの盟約を結びました。貴方様には魔王様に付き従う私を殺せやしない」

 

 「そうじゃの、我は貴様を見逃してやる。消え去るがよいわ」

 「では、私はこれで」

 エイファスは霧のように姿をくらます。


 

 「貴方……なにもの」

 エイファスとのやり取りでファフニールが只者ではないことはアホでも理解できる。ミリアはファフニールを警戒しながら見ている。


 「ふん、我は我である。それよりもカイトと合流するぞ。恐れるのなら一人で残るがよいわ」

 警戒するミリアを振り替えることなくファフニールは灰人の気配がする方へと歩いていく。


 「ま、まって。私も、いく」

 警戒していようが他に行く宛もないミリアはトテトテとファフニールに着いていく。


 着いてくるミリアの気配を感じながらもファフニールは苛ついていた。


 「あのモンスターめ、次に会ったときはぶち殺してやるのじゃ」


 エイファスにおちょくられた事を、ファフニールは許すはずもなく、怒りの炎を燃やしていた。








 

6話めぇぇぇぇ!!

まだ投稿する……つもりです!


感想、ブクマ、評価、誤字報告……お待ちしてます。





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