4:彼等の行方
間が空いてしまって申し訳です!
書き留めてました!
今日はまだ何話かあげていきます!!
「カイト殿……ですよね」
「はい、そうです」
最後に会ったのは半年以上も前、それでも彼女は俺の事を覚えてくれていたようだ。
「よかった……生きておられたのですね……本当によかった」
ソフィアさんの頬を一筋の涙が伝う。
この反応が本音であればよいと願う。
あの時、俺を嵌めた眼鏡男。ソフィアさんはあの男と一緒に行動していたのだから。
「クロノ、こやつと知り合いなのか?」
「ソフィアさんはクロノさんとお知り合いですか?」
お互いに見つめ会ったまま動けずにいた俺達にファフニールとリリアさんの声が重なって聞こえてくる。
「ソフィアさん。空いている席で話しませんか」
「私は……いえ、わかりました。話しましょう。貴方に伝えるべき事もありますので」
半年以上もの長い期間だ。お互いに積もる話はある。
「クロノ?」
「ファフ、一緒に来てくれ」
「わかったのじゃ」
ファフとソフィアさんと席へと移動する。
「さて、ソフィアさん。先ずは俺から聞かせてもらいます。あの後、ソフィアさん達はどうしたんですか」
「あの時、私とミリア殿はケイト殿と一つの取り決めをしていました。勝てない相手が現れたときはミリア殿が転移の魔法を発動するまで、片方がミリア殿につき、片方が足止めを行うと」
そういえば、あの時、眼鏡男はソフィアさんとミリアさんに何かしらの指示を出していたし、ソフィアさんとミリアさんはファフニールに攻撃するクラスメイト達に追随もしていなかった。
「来訪者の皆様が魔法を放っている隙をついてカイト殿がドラゴンに駆けているのを見たときは驚きましたよ」
「見ていたんですね」
それも、そうか。クラスメイト達に声はかけたし、先頭を走っていた俺はそれは目だっただろう。
「私はそれを見て察しました。ケイト殿がカイト殿に魔除けを持たせたのだと。そして、貴方は見事に魔除け玉を発動する事に成功した。私はその時、心の底から貴方を尊敬しました。村人でありながらドラゴンへと立ち向かうなんてそうそう出来ることではないですから」
「それならば、何故俺を置き去りにしたのです」
俺の事を見てくれていたなら、激しく感情が動いたなら俺がいない事にだって気づけた筈だ。
「申し訳ないです」
ソフィアさんは頭をテーブルにぶつかる勢いで下げる。
いや、実際テーブルは大きな音をたてた。それでもソフィアさんは頭を上げず、そのまま滔々と語りだす。
「言い訳に聞こえないのは重々承知していますが、私はあの時貴方がいない事に気づけなかった。転移魔法が発動し始めるとケイト殿によって来訪者様達は一気に私達の元まで押し寄せてきました。私はその時、意識を貴方から切り離してしまった。私が貴方がいない事に気づいたのは街の門前で来訪者様達が揃っているか確認した時です」
「その後はどうしたんですか」
「直ぐにギルドにドラゴンが現れたと報告し、私とミリア殿、それと冒険者達を引き連れて、再度あの場所に戻ったんです。しかし、カイト殿の姿は確認出来ませんでした。木に付着した血液と衝撃を受けたような跡から既にドラゴンによって亡きものになったと想ってたのですが、カイト殿はどうやって生き延びたのですか」
状況から俺は死んだと思われていたのは当然だ。
それだけ、龍という存在は規格外の化物だった。
それなのに俺が生きてたのはソフィアさんからしたら信じられない出来事だろう。
だが、当のドラゴンによって助けられたとは伝えられない。
事情を聞かれた場合の言い訳は考えてある。
「ソフィアさん。俺はあの時転移魔法によってはぐれてしまったんですよ」
「まさか、そんな事が」
「恐らく背後にドラゴンがいたことで何かしら影響したんでしょうね。俺は気がついたら見知らぬ森にいたんです。自分が何処にいるのかも分からず混乱しましたよ。モンスターが現れては逃げて、現れては逃げる。時には泥水を啜ってきましたよ。寝ることもままない苦しい生活でした。モンスターの気配がする度に怯えて毎日いつ死ぬかもしれない環境にいました」
ソフィアさんが息を呑む。
俺の言葉に説得力を感じたのだろう。
それはそうだ。事実を話しているのだから。
ファフニールに落とされた魔の森ではいつ死んでもおかしくない状況に日々いた。
「俺が生きるのも辛くなった時、出会ったのがファフです」
「先程から気にはなってたその少女が?」
「はい、ファフによって俺はこの街に来ることができました。幸い街の名前はわかっていたんで」
これは嘘だ。俺は街の名前なんて聞いてはいない。だが、半年以上も前の発言なんて覚えていないだろうし、仮に覚えていても眼鏡男かミリアさんに聞いたと思ってくれる。
「そうですか。道理でカイト殿が逞しくなったように見えたわけですね。それだけ厳しい環境にいたのなら納得です」
「そうですね。逞しくないと生き抜けない場所だったので多少は変われたかもしれないですね。それよりも、ソフィアさん達は半年の間何をしていたんですか。クラスメイト達もここにはいないようですし」
本題はここからだ。
空白の半年、この間に会った事こそ俺は知りたかった。
「半年前、カイト殿が亡くなったと云うことを私達は来訪者の皆様にお伝えしました。アカリ殿やシュンスケ殿、シグレ殿や他の皆様も心から悲しんでいました。皆様はそこで実感しました。人は死ぬと。そこからです、来訪者の皆様はそこから強くなろうと迷宮へと籠るようになりました。皆様は日に日に逞しくなり街に来てからちょうど60日目に起きたモンスターによる襲撃を皆様で未然に防いだのです。たったの二ヶ月であそこまで成長したのには感嘆したものです」
「ソフィアさんもその迷宮って所で一緒にクラスメイトといたんですか」
「いえ、私はたまに会うくらいでケイト殿がいつも皆様に鍛練をつけていました」
「なるほど」
ソフィアさんの話を聞いたが、大した情報はなかった。
クラスメイト達が俺の死をきっかけに危機感を持ったのは意外であったが情報としては価値がない。
「ソフィアさん、クラスメイト達は王都に向かったんですよね」
これは、門前の男が言っていた事だ。英雄の来訪者は王都に向かったと。
「はい、彼等は3ヶ月前に王都へと赴いております」
「何故あいつらは王都へと向かったんですか」
「ケイト殿が言うには来訪者様、特に勇者であるタイヨウ殿を国王の元に連れていくのと、街を救った褒賞を与える為との事です。勇者が現れたというのは一大事ですからね」
勇者____この世界で勇者がどのような存在なのか、調べておかないといけないな。
「ソフィアさんとミリアさんは同行しなかったんですね」
「はい、私とミリア殿はケイト殿とは違って冒険者ですからね」
「ミリアさんは今何処にいるんですか?」
これは、先程から気になっていた事だ。
ソフィアさんは今は一人でいる。たまたまということもあるだろうが、ソフィアさんとリリアさんのやり取りを俺は聞いていた。
さっと影を帯びたソフィアさんの顔を見て確信する。
「ミリアさんに何かあったんですか」
「カイト殿……ミリア殿はいなくなってしまったのです」
「いなくなった……それってまさか」
死んだではなくていなくなった。先程リリアさんから教えられた異変の一つが頭を過る。
「はい、ミリア殿は行方不明となりました」
「いつからです?」
「一週間前です。迷宮へ私とミリア殿は行きました。モンスターが現れたので私が相手をしていた所、ミリア殿は忽然とその姿を消したのです。近くにいた後ろから進んで来ていた冒険者にも尋ねたのですが、何れもミリア殿を見かけていないとの返事だったのです」
「ミリアさんは無事だと思いますか」
一週間前____生存しているの考えるには厳しい時間だ。
「はい、ミリア殿は私が知る限り最高峰の実力者です。そう簡単に亡くなるとも思えないのです。それに、私はカイト殿に気づけなかった時に誓ったんです。もう仲間を見失うような事はしないと……それなのに私は同じ過ちを繰り返してしまった」
ソフィアさんが俺との出来事を後悔し、同じ過ちを繰り返さんとしていたなんて意外だった。
「ソフィアさん。最近行方不明者が増えたと聞いたんですけど本当なんですか」
「はい、最近、生死が不明になった者が続出しているんです。それもあって私はミリア殿が生きている気がしてるんです」
何者かが意図を持って誘拐しているのならば確かに生存している可能性はある。
迷宮か……。
「カイト、行く気か?」
流石ファフニールだ。
俺の考えなんてお見通しってことか。
「ああ、付き合ってくれるか?」
「当然じゃろ。我はお主の妻じゃぞ? それに面白そうではないか」
面白いかどうかで行動を決める。
ファフニールはずっと変わらない。だからこそ、信じられるし一緒にいると俺も楽しめそうな気がする。
「カイト殿? どうかしたのです」
「ソフィアさん。俺と一緒に迷宮へと行きましょうか」
「カイト殿……ありがとうございます」
「いいんです。俺だって気になりますから」
ソフィアさんは涙を流している。
だが、俺は話を聞いてからミリアさんに関係なく迷宮へと向かう事を決めていた。
行方不明者が続出する迷宮。
ミリアさんがいなくなった迷宮。
そして、クラスメイト達が鍛練を積んでいたのも迷宮だ。
どういう繋がりかは分からない。
もしかしたら勘違いかもしれない。
だが、辛うじてではあるがクラスメイト達の何かに繋がったそんな感触があった。
取り敢え6話分はあるので全部投稿します。
時間は適当になると思います。
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