2:初依頼といえば
討伐証明に魔石と呼ばれるモンスターの核を追加しました。
門番に見せたのは魔石ではなくて魔玉です。
魔玉については後々話で書いていきます。
「取り敢えず、ダーマさんから一般の方に絡んだという事で今回は不問にします。ですが、明らかに過剰だったのも明白です! 以後気をつけてくださいね!」
「すいませんでした」
あの後受付嬢からのお説教を受けた俺とファフニールは現在正座させられている。
不問になったとはいえ、明らかな過剰防衛に受付嬢からは説教が始まった。受付嬢とのあまあまなフラグは立てるつもりは微塵も無かったが根本からへし折られた。
「それに、冒険者になったらギルド内での冒険者同士のいざこざもご法度なんですよ! 場合によっては一発で除名になるレベルなんです! 反省してくださいね!」
「返す言葉もないです。ファフもほら!」
「何故我が人間なんぞに、頭をって、ぬわ! カイト頭を押すでない!」
「いいから謝れ! ルールでは俺達が悪い一面もあるんだから!!」
ファフニールの頭を押さえ込んで無理矢理頭を下げさせる。
怒った気持ちは痛いほど分かるがやり過ぎた感は俺にだってある。
貰ったお金だって銀貨二枚以外は冒険者の男にちゃんと返してある。
「まぁ、反省しているようですし、もういいです。それで本日はどうしますか? 見たところ金銭を必要としているようですけど、依頼を受けますか?」
「はい、受けます!」
貰ったお金でちゃっかりとギルドに加入してしまっていた。
申し訳ないが、二枚だけは許してほしい。
「改めまして、私はリリアです。宜しくお願いしますねカイトさん、ファフさん」
「はい、宜しくお願いします」
「では、此方をどうぞ」
リリアさんはカードを差し出してくる。
カードには名前と年齢、職業とギルドのマークであろう剣とフォークのマークが押印されている。
「依頼を受けるときは依頼書とカードを提出してもらうので無くさないでくださいね。」
「はい、じゃあ。また後で」
折角冒険者になったのなら依頼を受けてみたい。
リリアさんと別れて依頼書が貼られたボードに移動する。
「ふぅ~、やっと解放されたのじゃ」
「仕方ないよ。それより、依頼何受けるか決めようぜ」
「何だってよいのじゃ。どんなものであろうとお主なら問題ないのじゃ」
そう言って貰えるのはありがたいが、折角の初依頼だ。出来れば冒険者らしい依頼を受けたい。
やっぱり定番の依頼を受けてみたい。
ボードを見て回っていると一つの依頼書が目に留まる。
「あ! これなんていいんじゃないか」
「ふむ、何にしたんじゃ……ってオークの討伐じゃと?」
「これだ、これにしよう」
ゴブリンと共に並ぶ異世界定番モンスターであるオーク、女性の天敵であるオーク討伐を行うと俺は決めた。
だが、ファフニールは不服そうである。
「嫌なのか?」
「構わんのじゃが、退屈なのじゃ。我は血肉踊る戦いをしたいのじゃ」
「そんなの今のランクじゃ無理だろ」
異世界冒険者にありがちのランク制度がこの世界にもあるようで、FランクからSランクまであるらしい。
加入したばかりの俺達は最底辺のFランクのため、ファフニールが満足するランクの依頼は現段階では受けれない。
ファフニールはもちろんSランクの実力があるのは間違いない。
「後、俺は自分の実力を知らないんだ。まずは手始めにオーク辺りからやっておきたいんだよ」
地竜を倒せるからそこそこの実力はあると思いたいが、地竜はこの世界では誰でも倒せる程弱いっていう可能性もなくはない。
その点、オーク討伐の依頼書には推奨ランクがEと書いているんで試しとしてはちょうどいい。
「お主の事故評価の低さも呆れるのぉ、我の加護を受けた者が弱いわけないというのに」
「それも含めての試し依頼だよ。ほら、受付いくぞ」
「ふむ、まぁ、我はお主についていくだけなのじゃ」
受付に向かい依頼書を差し出す。
受付嬢はリリアさんだ。
「すいません。リリアさん。これ受けます」
「あ、カイトさん。もう決めたんですね。どれどれ、オークの討伐ですか。これならEレベルのモンスターなのでちょうどいいと思いますよ」
「ですよね」
「ただ、モンスターなのには変わりないんで油断だけはなさらないでくださいね」
「はい」
リリアさんに依頼書を受理してもらい、カードを返される。
「では、お気をつけて」
「いってきます」
リリアさんが手を振るのを背に俺達はギルドを退出する。
「妙にここに縁があるもんじゃの」
ファフニールが依頼書に記されていた森に来て呟く。
俺達が出会ったあの森こそが依頼書に記されていたオークのいる森だった。
恐らくこういう風に定期的に冒険者が狩りに来るため、ここの森には強力なモンスターがいないんだろう。
「さーて、オークは何処にいるのかね」
この森は魔の森には遥かに及ばないがそれでも広い。普通に歩いてオークのみを探すのは意外と大変かもしれない。
「雷華頼めるか。オークは確か人形の豚みたいなモンスターらしい。見つけたら教えてくれ」
『わかりました。ご主人様』
雷華は頷くと高く飛んでいく。
精霊である雷華ならば空から早く見つけてくれるはずだ。
『ご主人様、ご主人様』
(お、早いな)
暫くその場で待っていると意志疎通スキルの効果で雷華の声が届いてくる。
『ご主人様。見つけましたよ。豚みたいな人間。オークで間違いないと思われます』
(もう、見つけたのか。わかった。今いく)
雷華のいる場所は関知する事ができる。
雷華のいる場所に行けばオークがその場にいるはずだ。
「よし、場所はわかった。いくか」
「ほぉ~、相変わらず便利じゃの~」
ファフニールが感心している。確かに他の冒険者に比べると精霊の眼はだいぶ有利になる。
「随分と多いいな」
雷華に言われた場所に行くとそこには茶色い体毛を生やした豚顔のモンスター、オークがいた。
茂みに隠れながらオークの様子を伺う。
一つ予想外の事があったからだ。
今回のオーク討伐の依頼は五匹のオークの討伐すれば完遂となる。
だが、目の前にいるオークは想定よりも多い。
近くに集落でもあるのか30匹位いる。
これでEランクとか嘘であってほしい。
「なんじゃ、カイト。臆してるのか? あの程度お主の相手にもならないじゃろ」
「いや、それはそうだけどさ」
そう、目の前のオーク達はEランクであると考えるときついと思う。しかし、勝てないかと言われればそんなことはない。
俺には生物の力がオーラとして見ることができる。
オークのオーラは俺にとっては微小なもので負ける気が微塵もしない。
とはいえ、あの数を正面から殴りあうのは少々面倒くさい。
「燐火、折角の試しだ。あの技を使うぞ!」
『はーい!! あれだねーーー!』
赤い髪をした少女が俺の横で手をオークの群れに向ける。
「【炎竜の咆哮】ーーーー!!」
竜の咆哮を模した高密度のエネルギーを含んだ炎をオークへと発射する。
地竜の強固な鱗をも貫いたこの技ならオークの群れなら一たまりもないはずだ。
念のため威力は落としておいた。
地竜に使った時の一割以下に押さえておいた。
あくまで小手先だ。
倒せないならまだまだ威力を上げればいい。
……はじめに言っておく。悪気はなかった。
初めての依頼という事もあり、確かに気合いは入っていた。
だけど、これはあまりにも想定していなかった。
俺の目の前では、地面が大きく抉れて、そこにあった木々は綺麗さっぱり吹き飛んでいた。砂煙がモウモウと昇り、森の一角は見事に更地になっていた。
当然ながらそこにいたオークは消滅されている。
ここまではまだいい。
やり過ぎてしまったが、モンスターを倒せたのならばそれで問題はない。
「のう、カイト。お主はアホなのかのぉ?」
ファフニールですら呆れている。
わかっている。自分でもわかっているんだ。
今回の依頼はオークの討伐。
それには討伐したという証明を示さなければいけない。
その一つがモンスター討伐部位と呼ばれるもの。オークの場合は体毛か牙。それと、モンスターの核である魔石と呼ばれる物を提出すればいいらしい。
もう、一度言おう。
討伐の証拠を示さなければ依頼を完了したとはいえない。
だが、目の前にいたオークは消失しており灰すら残っていない。
「もしかしなくても、依頼失敗だよな……」
初依頼はものの見事に自滅という形で失敗してしまった。
オーク30匹は本来Dランクレベルの依頼で、そこらの冒険者ならば手こずります。主人公は割りと強くなってますがこれからどんどん力を発揮していきます。
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