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勇者?魔王?いいえ村人です。  作者: 蒼伊悠
序章
13/27

13:契約と落下

やっと主人公の成長パート書けました!


 「なんで、クラスメイト達に魔の気配が感じるのと俺を夫にする事になるんだよ!」

 どう考えても話が繋がるようには思えない。


 「無論、お主に死なれては困るからじゃ。我は初めはお主からあの美味なる草の生える場所を聞き出したらそこを一人で独占しようと考えておったのじゃが、結果はお主によって栽培されるとの事じゃった。我はその時点でまずお主に遊び半分で与えていた血をしっかりとした加護に変える事にしたのじゃ。あそこまで禍々しい魔の気配が現れれば間違いなく世界は荒れるのじゃ。その時お主に死なれては困るからの」


 ここまで、話を聞いてもやはりわざわざ夫婦になる必要性が皆無の気がする。普通に俺を鍛えて、魔の気配とやらから守ってくれれば済む話だ。


 というより、世界が荒れるって勇者と魔の気配を持つクラスメイト同士が争うということか?


 今一信じられない。ただの高校生に過ぎない俺達がそんな大それた事を出きるとも思えなかった。



 「なんじゃ、その目は。何故夫婦になる必要があるのかと思っておるのか?」

 「よく、わかったな」

 「ふん、顔を見ればわかるわ。簡単じゃ、まず我にとってあの美味なる食材を与えてくれるのであれば手元に置いて起きたいし。何より、お主といれば我はこれから先も楽しく過ごせる……そう思ったのじゃ」


 「なんだ、その理由は。運命とでもいいたいのか」

 「運命というよりは、縁じゃな。我とお主の間には既に縁が強く結びついておる。それはまた、魔の者とお主達も同じじゃ。お主達は異界から共に現れた同郷の者という強い縁があるであろう。だから、お主はこれから先、波乱な人生を送ると我は分かっておるのじゃ。我はお主の傍でそれを見届けたいのじゃ」


 ファフニールは大人びた表情でそっと微笑む。

 その表情は悔しいけど、見惚れる程可憐な笑顔だった。

 





 

 「これからどうすっかな~」

 目覚めてから既に三日程経っている。俺はその間洞窟ないで軽く走ったり筋トレ等を繰り返していた。


 というのも、俺は3ヶ月以上眠っていたため体が酷く鈍っていた。リハビリも兼ねてここ三日は大人しめに過ごしていた。


 おかげで色々と考える事ができた。

 最終的な結論は、一先ずファフニールの元で強くなってから、魔の気配を持つであろうクラスメイトを止めるという結論に至った。


 クラスメイトが世界を荒らす存在になると云われれば黙って傍観する事など出来やしない。いつ、自分の身に災難が降りかかるとも分からないからだ。それならある程度リスクを犯してでも干渉していくべきと判断した。


 だが、その為には余りにも俺は弱すぎる。

 ファフニールが今日、俺が強くなる方法を教えてくれるとの事だったので燐火と雷華と遊びながら外出中のファフニールの帰りを待つ。



 「燐火、指の先を囲うように小さな炎を出してみてくれ」

 筋トレ等のリハビリを終えるとやることが無くなるので専ら魔力操作と精霊術のコントロールの練習をしていた。


 今やっているのは俺の思い描いた魔法の規模を燐火に伝えて実際に想像通りに精霊術が発動するかどうかの訓練をしている。


 初めの頃は俺の意思の伝え方が悪かったのか細かい調整ができなかったが、今は大分ましになってきており、初日に比べると格段と上達している実感がある。


 「次は雷華だな。いつものように頼むぞ」

 雷華に魔力を渡すと踊るようにクルクルと回り、俺に向かって雷電を落としてくる。


 攻撃エネルギーを含んでないそれは俺の筋繊維を刺激して無理矢理身体能力をあげる雷化という技を使う。

 地球でみたゲームや漫画を参考にした技だ。


 「よし、こんなもんかな」

 雷化は使いすぎると筋肉が痛むので早いところで切り上げる。

 少しだけならば寧ろ体が適度に解れて気持ちよいのでリハビリの途中で併用したりもできる。



 『カイト、戻ったぞ』

 洞窟の入り口からくぐもるような声が聞こえてくると同時に翼をはためかせる風切り音がなる。


 ファフニールが帰って来たようだ。


 「ファフニール、早く人間の姿に戻れ、羽ばたく度に暴風がくる!!」

 『わかったのじゃ』

 俺の言葉に素直に了承するとファフニールのドラゴン体が光、収まるとフリフリの黒いワンピースを風に流す、美しい黒髪を手で押さえた美少女にファフニールは姿を変える。


 「見てみるがよい、今日はあのギーネ草を持ってきたのじゃ」

 「早速埋めるか」

 忘れてはならないが、俺が元々ファフニールに命を助けて貰ったのはファフニールが俺の植えたギーネ草に目を止めたからだ。

 俺は毎日一日で食せるようになる植物を育ててはファフニールに与えていた。


 「カイト、精霊にも与えたか?」

 「ああ、今日もちゃんと与えたぞ」

 ファフニールの指示で燐火と雷華にも収穫した植物を与えていた。理由を聞いたが楽しみにしてろとだけ言われて結局ファフニールは話してくれないでいた。


 「そうか、そうか。今日で3日、そろそろかの。カイト、お主はそろそろ次のステップに行ってみるのじゃ」

 「次のステップ?」

 「そうじゃ、精霊との契約をするのじゃ」

 「契約? 俺は既に精霊術を使えるぞ」

 「それは、ただ力を貸してもらっているだけじゃ。契約とは精霊との間に縁を繋げる事、我がお主に加護を与えたように、精霊から力を与えてもらうのじゃ。それが契約じゃ」


 そういうと、ファフニールは俺が毎日植えていたヤシモ草を引っこ抜いて燐火と雷華の前に置く。


 「我の見通しが確かならそろそろ、契約に漕ぎ着けるはずなんじゃ。その為にこれを与えるのじゃ」

 ファフニールに言われて燐火と雷華にヤシモ草を食べるように指示する。二人はヤシモ草に群がる。


 ヤシモ草はその場から消える事はないが、ヤシモ草を覆っていた自然エネルギーが燐火と雷華に吸収される。 


 その瞬間二人はぶるぶると震える。


 「燐火、雷華!?」

 「大丈夫じゃ、見てろ」

 そう言われても二人がこんなにぶるぶると震えているのを見るのは初めてだ。心配してしまう。

 

 『だいじょうぶ』

 『心配いらない』


 「え……」

 これまで、燐火と雷華からは希薄な意思しか感じる事は出来なかったが今感じたのはハッキリとしたものだった。


 「成功したようじゃの。契約には最低限の意志が必要なんじゃ、これで契約できるのじゃ」

 「その為に自然エネルギーを吸収させたのか」

 「そうじゃ、契約に必要なのは意識。精霊は自然エネルギーが一定の量になれば意思を持つことができるのじゃ」

 「成る程。でも、契約ってどうやるんだ」

 「簡単じゃ。精霊の同意があれば精霊は自然と力を与えてくれる。お主は好かれているようだし間違いなく成功するじゃろ」


 

 『するーー』

 『けいやくするーーー』

 ファフニールの言葉を聞いた二人は俺の周りをクルクル回りながら契約するーと連呼している。


 二人が同意すると二人から何かが俺に流れてくる。

 これが契約の効果なのだろうか。二人との繋がりを感じる事が出来た。もし、この繋がりが確かならば精霊術を行使するときこれまでにないほどスムーズに行う事ができる気がする。

 


 「これは……確かにすごいな。燐火、雷華これからもよろしくな」

 『よろしくーーーー』

 『いっしょーーーー』

 二人はクルクルと周りを踊りながら飛ぶ。

 なんだか、子供のような二人に微笑ましくなってくる。

 


 「うむうむ、成功したようじゃの」

 「確かに次のステップに進めた気がする。助かるよ」

 精霊術を行使しなくても感覚でわかる。

 俺は次の段階へと上がれた。


 俺が素直に感謝を伝えるとファフニールは首を傾げて何を言っているんだとばかりにキョトンとした表情を浮かべている。



 「何を言うておる。我が言った次のステップは契約の事だけではないぞ。そもそも、契約だけではまだまだ足りん」

 「え、それってどういう事」

 ファフニールは俺の胸に掌を添えさせる。

 

 「結局の所、力は敵とぶつかりあってこそ手に入れられるのじゃ。という事でカイトよ____行ってくるがよい」


 添えられた掌から物凄い衝撃が俺に伝わってくる。

 踏ん張りも虚しく俺の体がふわりと浮いて吹っ飛ばされていく。飛んでいく先は洞窟の入り口。


 俺の体は入り口を出ても止まることはない。

 そのまま衝撃を受け止めるものがない以上俺の体は洞窟の入り口から出た後もしばらく飛んでいき、曲線を描くように下に降りていく。


 洞窟の先から暫く飛んでいた為に地面等も下にはなく____俺の体は重力のままに落下していく。

 


 「うわぁぁぁぁぁぁあああぁぁ!!!!!!」

 

 大木が並ぶ森よりも更に数十メートルは上に洞窟は作られていた。そこから無防備に落下すれば俺の体はトマトが潰れるが如く赤い液をそこいらにぶちまけるだろう。

 


 「あんの、くそドラゴンがぁぁ!!!」

 命を助けてもらい最近は本気で感謝もしていた。

 だが、そんなもの撤回だ。

 あんな所から突き落とすとか完全に俺を殺しに来ている。

  

 悪態を吐いていても仕方ない。俺の体はどんどん落下していく。


 下をちらりと見る。運悪く俺が落下するであろう地点は大木がない開けた一角。

 

 「やばいやばいやばいやばいやばいやばい、どうするどうするどうするどうするどうする」

 必死に頭を巡らせる。どうすれば助かるのか、どうすれば生き抜く事が出きるのか必死に思考を働かせるが浮かんでくるのは死の一文字だ。


 いや、一つだけ思い浮かんだ。危険だが地面に衝突するよりは助かる可能性がある方法。



 「りんかぁぁぁぁ!!!!」

 燐火の姿は見えない。だが、繋がっているからか何となくわかる。燐火は応えてくれると。


 『きたよーー』

 燐火が隣に現れる。

 狙い通り現れた燐火に魔力を渡す。



 「燐火、俺を横に飛ばせるんだ!」

 『わかったーー!』

 燐火による精霊術を俺の横に噴射させる。

 炎の勢いで俺の体が横に流れる。


 ____せめて、木をクッション代わりにすれば!


 狙いは成功し俺の体は大木のある方向へと流れていき、枝や葉を突き破る音が衝撃と共に耳に届く。


 枝葉を突き破ると俺は地面に辿り着く。


 「いってぇぇ」

 クッションがあったからか幸い命は無事だった。

 体が少し痛むだけですんだ。


 「いや、というより、あまりにダメージが少なくないか」

 襲ってきたダメージは僅かなものだ。打撲痕も骨が折れたような事もない。あまりにも元気すぎな気がする。


 この状態に心当たりがあった。


 ファフニールの加護だ。

 ファフニールは俺に加護を与えて俺は龍人とも呼ぶべき存在になったと言っていた。それにより体が自分の思ったよりも強化されている可能性はある。


 「好都合だな」

 強化されるに越したことはない。

 無事ならよかった。


 なんせ、ここの事をファフニールはモンスターの蔓延る魔の森だと言っていた。


 それもファフニールをもってして強力といわせしめたモンスターが蔓延る森だ。


 実践相手に文句はない。


 「強くなりたければ生き残れってことかよ」

 とんだスパルタだ。

 普通に考えれば生き残れる分けがない。

 だが、生き抜けば俺は更なる飛躍を遂げる。


 やり切るしかない。

 俺にはやらなければいけない事がいっぱいある。

 

 「燐火、雷華」

 二人は俺の傍にいる。大丈夫怖くない。


 魔の森を俺は進んでいく。


 

最近タグに恥じぬようやっと主人公が最強に進んでいきます。


 ※書くの忘れてましたがこれで一章は終わりで二章では主人公は修行を終えてます。

 それまでの間の出来事はちょくちょくおまけとして書けたらなと思っております。



感想、アドバイス、ブクマ、評価等々、モチベに繋がるので頂けたら喜びます!!

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