12:ファフニールの説明
あぶな、ギリギリ間に合いました!
某バニーガールの映画見てて間に合うか微妙でしたが、間に合ってよかったです。
ドラゴンとの戦いで危うく死にかけて、目覚めたらそのドラゴンにキスをされて、夫婦になれとアプローチされちゃったぞ☆
自分の状況を改めて考えてみたが、やはり意味がわからない。
「何で、俺がお前と夫婦にならないといけないんだよ!」
「なんでじゃ、なんでじゃ! カイトは死ぬ所を我が助けたんだぞ。お主の命は我の物と同義じゃ!!」
「そういえば、俺をどう助けたんだよ。死んでもおかしくない大怪我だったのに」
求婚された事ですっかりぶっ飛んでいたけど、あの状態から俺が助かるのは信じられない事だった。骨がボキボキに折れていたはずなんだぞ。
「それに、燐火と雷華をどこやった!! まさか、殺したのか!?」
「ええい! うるさいわ!! 精霊は無事じゃ! ほれ、彼処にいるであろう」
ドラゴンが指差す方向に霊視を使いながら目を向ける。
そこには二つの光る玉がふわふわと浮かんでいた。
「燐火! 雷華!」
二つの光は俺が声をかけると飛びつくように飛んでくる。
よかった。二人とも無事だったか。
「それで、お主をどう助けたについてであったな。簡単じゃ、我の血をお主に与えた。龍の意志が宿った血は人間にとってはエリクサーのように効能があるのじゃ」
「すげぇ、そんな効果があるのか」
龍の血で回復するとか、まんまフィクションにありがちな設定だが、実際に自分が体験してみるとその効果に驚く。
「まぁ、色々としてたら少し時間がかかってしもうたがな」
「どの位経ったんだ?」
「少なくとも100回は夜を迎えたの」
ということは、3ヶ月以上もの間、俺は眠っていたのか。
ん、ふと、ドラゴンの言葉の中に引っ掛かりを覚えた。
「今、色々してたら時間がかかったって、何をしたんだ?」
何故だか、嫌な予感がする。したくないのにしてしまう。
「そう怯えるでない。お主にとってもよいことじゃ」
ドラゴンはニヤリと嗤う。その笑みに更に嫌な予感が強くなる。
「お主との戦いで我は楽しませてもらったからな。お主を助けると決めたとき思ったのじゃ、こやつを強くしたらどうなるんだろうと」
「何が言いたい……」
「物わかりが悪いの、我の血をお主の血に混ぜて、お主を強化したんじゃ!」
血を混ぜて俺を強化した。いまいち理解が追い付いていないが、ドラゴンの血が混じって俺が強くなったということか。
「しかし、お主は運がよいぞ。本来はただ強化させるだけのつもりであったが、お主には先程の接吻の時に更に祝いを送り込んでおいてやったわ! お主は最早我の加護を得た、我の魂の半身なのじゃ!」
「まて、どういう意味だ……?」
「お主に送りこんだ血を先程の接吻で強化したんじゃ。最早お主は人の形をした龍ーーーー龍人というやつになったんじゃ! どうじゃ、嬉しいじゃろ?」
何という事でしょう。異世界に来て2日____実際には3ヶ月以上、俺はいつの間にか人間を止めていたらしい。
嫌な予感はこれだったのか、今一人間をやめた実感はないが、知らぬ間に人間でなくなっているというのは恐怖でしかない。
嬉しい訳がない。だが、だけどだ。
「ああ、ありがとう。感謝はしておくよ」
この世界において力はあって損はないので感謝は告げておく。
「でも、勘違いするなよ。お前と夫婦になることはしないぞ」
そこだけは忘れずに伝えておく。彼女すら出来た事すらないのに、いきなり夫婦になんてなりたくない。そもそも、ドラゴンに対して恋愛感情を抱ける自信がない。
「まぁ、よいわ。無理強いはせん。ただ、我の魅力からただの人間が逃れる事は不可能だと思うがの」
「言ってろ」
「ふふ、カイト、こっちに来るがよい。話は終わったら次はお主が仕事をやる番じゃぞ」
作物を作れということだろう。立ち上がり龍の元に行く。
「これを作って見てほしいのじゃ」
「ドラゴン、何だこれは」
小さな豆のようなものをドラゴンは持っていた。
「これは、育てばヤシモ草と呼ばれるものになるのじゃ。これも一日で伸びるからお主の話が本当なら明日にでも美味しいものが食べれるじゃろ。後我はファフニールじゃ」
「わかった。埋めてみるよ」
受け取った豆を地面に埋めてみる。
「これで、明日にでも収穫できるだろ」
「うむうむ、楽しみにしてるぞ。お主を我の夫に任命したんじゃ、不味かったら承知しないからの」
「へいへい」
急に求婚してくるから何かと思えば食料目当てかよ。
まぁ、余計に結婚は出来なくなったな。
「そういえばさ、ここ洞窟内なのに少し明るいけど、どうなっているんだ」
洞窟内なのに天井が見えたり、壁を見れるのは僅かな灯りが洞窟内にあるからだ。天神が使ったような光玉もないし、どこで光源を確保しているのか。
「この空間事態に光を貯める性質もっておっての。洞窟全体がうっすらと発光しておるのじゃ」
「成る程、そんな性質を持つって、魔法か何かか?」
「魔法というよりは精霊と自然エネルギーの中間におると思ってくれてよい。自我はないが、魔力を与えれば精霊術に及ばずとも、光を貯めたり発したりすることが可能なのじゃ」
「へー、それは凄いな」
精霊と自然エネルギーの中間ってのもあるのか。
あれ? ということは精霊になり得る事もあるということなのか?
「それよりも、カイト。お主元の場所に戻してほしいと言っておったが、本当に戻るのか?」
質問しようとしていた所をドラゴンの発言が遮る。
ただ、他の疑問も沸いてきた。
「そういえば、ドラゴン、ここは何処なんだ」
そういえば、目覚めてから何処にいるのか聞いていなかった。あれほどの力を持ったドラゴンが人里近くに居を構えてる訳でもないだろうし気になる。
「……外を見てみればわかる。ついてくるがよい。後、我はファフニールじゃ」
ドラゴンは俺の手を握りながら引っ張っていく。
意外と深い洞窟なのか十分程歩いてから強い光が差す一角にたどり着いた。あの先に行けば洞窟を出れる。
洞窟を出ると強い日射しに暗所にいた俺の視界が一気にボヤける。
目頭を押さえて何度か瞬きをしてから目を開く。
何だここは……。
どれ程高い場所にいるのか下を見ると何処までも続く森が見下ろせる。
上を見上げると更に上があり、俺が斜面の途中にいるのがわかる。
どうやら、俺は崖の途中にある洞窟にいたらしい。
「おいおいおいおい、なんだここは」
「すごいじゃろ。下はモンスターが蔓延る魔の森じゃあ、余りに広大のため我でさえ全てを回った事はない。ここには強力なモンスターがおるから、お主にとってもいい修行場になるじゃろう」
「修行場……」
この世界が過酷なのはドラゴンの存在で痛感した。
修行出きるのであればしておいて、損はない。
「どうしたのじゃ? 浮かない顔じゃな」
「俺は既に3ヶ月以上寝てたんだよな。これ以上ここにいてもいいんだろうか。早く戻った方が」
「何処に戻るのじゃ? お主も分かっておるであろう。お主は囮にされたのじゃ。その様な奴等の所に戻るのか?」
「わかってる……でも、何かの間違いって事もあるじゃないか」
目覚めてから冷静になると、あの時の出来事は余りに急に起きた事だった。俺が把握していない理由や事情があるのかもしれない。
それを確認するためにもクラスメイト達には会ってみたい。
クラスの中には友達だっている俺の無事だって伝えたい。
「なんじゃ、人間は本当に変わっとるの。だが、弱い者が願いを叶える何て事はできやしない。急ぐこともあるまい。お主は少し修行するのじゃ、お主には強くなってもらわねば、我だって夫となる者が弱いのでは困るのじゃ」
「ドラゴン……分かったよ」
「うむ、ではカイト。その前に一度歯をくいしばるのじゃ」
「え____ぶふぅ!!」
ドラゴンが突然俺の頬を殴ってくる。
小さい体ながらもドラゴンのパワーは強く俺の体はぶっ飛んでしまう。
忘れてはならないのが、俺がいるのは崖の間の洞窟で外にはせりだした僅かなスペースしかない。要するにはみ出してしまえば崖下に一直線に落下してしまうことになる。
「うわぁぁぁぁ! あっっぶねねねぇ!!」
俺の体が止まったのは崖際であった。後少し下がっていれば見事に落下していた。
「おいぃ! ドラゴン殺すきか!!」
「ああ、またなのじゃ!! 我はファフニールと言うたであろう!! ドラゴンなんて呼ぶでないわ!!」
「え、えぇ」
「ええ、ではない。ほら、ファフニールと呼ぶがよい!!」
「ふ、ファフニール……」
「うむ、それでよい」
ファフニールは満足気にしている。
まさか、俺は名前を呼ばないというだけで殺されかけたのか。
「時に、カイト。我がなお主に修行しろと言ったのにはもう一つ理由があるのじゃ」
「理由?」
「我がお主達の元に行った理由じゃ。我が彼処に行ったのは偶然ではない。懐かしい気配を感じたから行ったのじゃ」
そういえば、ファフニールは現れたときに懐かしい気配を感じて来てみたら的な事を言っていたな。
「勇者である天神の存在を感知したんじゃあ、ないのか?」
「違うのじゃ、我が感知したのは勇者ではない。勇者に気づいたのはあの場に着いてからじゃ。我が感じたのは禍々しい魔の気配____それも少なくとも二人以上の魔の気配を感じていたのじゃ。だから、我はお主を強くしたい」
「どういう事だ……禍々しい気配って」
「魔の気配を持つものは人間族とは相反する存在での。破壊の因子を持ってしまった憐れな者達なのじゃ」
「それを……俺達の中から感じたんだな」
あの場にいたのはクラスメイト達とソフィアさん達だけだ。
ソフィアさん達に禍々しい気配があるなら当の昔にファフニールに感知されているはずだ。
昨日のタイミングで現れたということはそれはつまり……。
「まさか……」
「そう、お主の同郷の者の中に魔の力を得た者達がいる可能性が高いのじゃ。だからこそ、お主を我の夫とし、強くすると我は決めたのじゃ」
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