11:目覚め
本日2話目です。
少し短いです。
夢を見ていた。
地球にいた頃の夢だ。
俊輔や鬼灯や東雲さんとご飯を食べたり、遊びに出掛けたりしていた。
天神がクラスで遊ぶ企画を立てては渋々という体で参加しつつ、何だかんだ楽しかった思い出。
全員と仲がいいとは言わない。でもさ、俺は普通に過ごしてた筈なんだ。
裏切られるような恨みなんて買った覚えはないだよ………………………………わからない。わからないよ。
……お………きよ………おき………よ…………。
「はよ起きんかい!!!!」
「いってぇぇぇ!!」
浮上しはじめた意識がおでこに襲った衝撃で急浮上していく。
「あれ……俺、何して」
ボーっと天井を見上げる。
薄暗くてよく見えないがゴツゴツと凹凸のようなものがある気がする。
どこだ……ここ?
「お、ようやっと目覚めたか!!」
「うわ!!」
突如俺を見下ろしてきた人影に驚いてしまう。
艶やかな黒髪を腰まで流した女の子は俺をじっと見ている。
俺はそんな女の子から目を背ける。
「えっと……君誰? それに、服は着てくれないかな」
そう、女の子はすっぽんぽんだった。
まだ、小学生位の女の子に欲情するほど落ちぶれていないが、女の子の顔がなまじ整っているため直視しにくい。
「ん? 何を言っておるのだ人間。我に散々攻撃を仕掛けておいて忘れてしもうたのか?」
「え……お前、まさか……」
話し方や俺の事を人間と呼ぶ事、一つの考えが浮かぶ。
突拍子もない考えではないはずだ。
異世界ものなんかで、昨今ではありふれた考え……人化。
つまり、この黒髪超絶美少女は……。
「お前、ドラゴンなのか……?」
「うむ! 我こそは漆黒の龍である!」
俺達に絶望を与えてくれましたドラゴンそのものであるという事だ。
状況が呑み込めない。この際、人化の事には触れない。
それより、何故俺が生きて見知らぬ場所にいるのかと云うことだ。それも、一人ではなく戦っていたドラゴンと一緒にだ。
「お前が俺を助けてくれたのか?」
一番考えられるのがこれだ。あの時の俺は間違いなく死ぬ寸前だったはず。今は体に気だるさはあるものの健康な気がする。
「うむ! そうだ。我が貴様を助けて我が寝城まで連れてきたのだ!」
「寝城って、もしかしてここ洞窟か何かか?」
「うむ! そうである!」
天井の凹凸や周りの壁などもゴツゴツした石でできている。
涼しげな空気が流れたここはドラゴンの寝城だったのか。
いよいよ事態が呑み込めないぞ。
何故こいつはわざわざ俺を寝城まで連れてきたんだ。
「ふむ、なんじゃその顔は?」
胡乱げな視線をちらりと向けたからかドラゴンは俺の視線に、気づいた。というより、早く服を着てくれないかな。
「いや、何で俺を助けたのかなって、俺死ぬ寸前だったのに。何か目的があるのか?」
「おお! それじゃ!! 貴様に我の目的を話そうじゃないか!」
至極当然の質問をドラゴンにしたらドラゴンは思ったよりも食いついてくる。
「おい、近いって! てか、早く服を着ろよ!」
引っ付いてくるとなると流石に困る。
無理矢理ドラゴンを引きなそうと手で押す。
「なんじゃ、貴様……はっはーん、そういうことか~」
ドラゴンがニヤリと笑う。
その表情はやけに気に触る。
「そうか、そうか。我の美貌に欲情してしまうか人間よ。仕方ないなぁ~、下劣な視線を向けられてはうっかり殺してしまうやもしれんし、着替えてやるとするかのぉ~」
ニヤニヤ笑いながらドラゴンがスッと身を離す。
着替えてくれる気になったのは嬉しいが、何かムカつく。
「ほれほれ、これでよいだろう?」
「ああ、問題ない」
フリフリとした黒いワンピースを着たドラゴンは悔しいがやはり、美少女であった。とはいえ、これでやっとまともに話せる。
「それで、俺を助けてくれた理由を教えてくれるんだよな?」
「うむ、我が貴様を助けたのは貴様が持っていた雑草を何処で手にしたか聞くためじゃ」
「…………は??」
わざわざ人間である俺を助けてどんな目的があるのかと思えば俺が持っていた雑草??
「何だそれ? 俺そんなのに心当たりはないぞ?」
「嘘をつくでないわ! あれは間違いなくお主のポケットからこぼれ落ちたものであったぞ」
「ポケットから雑草と言われてもな……あっ」
貴様呼びからお主呼びに変化しているのに気づいたと同時にドラゴンが何を言っていた事にも思い至る。
「もしかして、ギーネ草の事か? 緑色で先が細くなっている」
「そう、それじゃ!! あれをお主はどこで手にいれた!!」
「えーと、何でそれを聞きたいんだ?」
「あれほど美味な物を我は食した事がない! もう一度あれを食べるのだ!」
確かにギーネ草は旨かったがドラゴンからしても格別に美味しかったのか。
というか、そこいらに生えてるとソフィアさんが言っていたギーネ草が永き時を生きたドラゴンにとって最上の食べ物でよいんだろうか。
「なるほどなるほど。じゃあ、それを聞いた後、俺はどうなるんだ?」
情報だけ取られて用済みと殺されてはたまったものじゃない。
「どうもせんわ」
「そうか、ならよかった」
「意外じゃの……人間は疑い深い生き物なのに、そんな容易く我の言うことを信じるのか」
「お前はこんな嘘なんてつかないだろ?」
それだけは断言できた。
そもそも、ドラゴンが嘘をつく必要がない。圧倒的な力を持つこいつがたかが人間の一人である俺に嘘をつく訳がないのだ。
「なんじゃ、お主。ほんに面白いやつじゃ! よし、サービスじゃ! 情報をくれたら褒美をやろう!」
「取り敢えず、俺は元の場所に帰してくれよな」
「そんなこと容易いのじゃ!」
「じゃあ、教えるけど、あれは何処を探しても見つからないぞ」
ドラゴンはガーンとショックを受けた表情を作る。
それどころか少し涙目になってきてないか?
「そ、そんなぁ!! 我はもうあれを食べれぬのかぁ。そんなの嫌じゃ!嫌じゃ!」
いや、涙目所かボロボロと涙を流して子供のように駄々を捏ねる。
俺の中でドラゴンのイメージが……いや、初めからこのドラゴンは楽しければいいという快楽主義な一面を見せていた。本能に忠実なタイプなのだろう。
「勘違いするなよ。あれを野生で見つけるのは無理ってだけであって食べれないわけではないぞ」
「ふぇ……ほんとう?」
「ああ、本当だ。だから、泣き止め」
ドラゴンのとはいえ、見た目が幼いから何だから泣かせるのが悪い気分になってくる。
「あれは、俺が作ったものだよ」
「あれを……お主が作ったのか? 嘘ではないだろうな」
「俺は信じたのにお前は疑うのか?」
痛い所を突かれたのか、ドラゴンは二の句を継げなくなる。
「わ、わかった。お主が作ったという主張は受け入れよう。だが、あり得ぬのじゃ。あれを人間が作ったという事実だけは我はどうしても受け入れられぬ。永く生きた我だからこそ、人間にはあり得ぬ所業だと断言出来るのじゃ!」
俺の農民スキルは100。これが異常な事位はわかる。
神も驚いていたし、何よりスキルレベルが100とか物語とかでも中々見たことがない。
だから、確かに他の人間が作るのは不可能だと断言するドラゴンの気持ちもわかってしまう。
「話すよ。俺のスキルとかを」
だから、俺はドラゴンにこれまでの経緯を説明した。
話していく内にドラゴンは納得していったのか顔を輝くものにしていく。
「お主……面白いな!! なるほどなるほど。農民スキルのレベル100か。異界から来たものは面白い奴ばかりだが、お主も例に漏れなかったってことか! いや、ほんに面白いぞ!!」
何が面白いのかドラゴンは笑い続ける。
取り敢えず納得してもらった用なのでよしとする。
「よし、決めたぞ! お主、名は何という」
「カイト、ミタライだ」
「カイトか、ふむ。良い名だ。我はファフニールである。カイト、我は決めたぞ」
「決めたって何を……え」
ドラゴンであるファフニールが俺に顔を寄せてくる。
人形のように美しく整った顔が近づいてくるのを俺は黙って見てるしかなくて…………ファフニールの桜の花びらのような淡いピンク色の唇が俺の唇にそっと触れてくる。
「????????」
何故今、キスをされているのかさっぱり理解出来ない。
訳がわからない。訳がわからないから突き放せばいいのに何故か突き放す事が出来ずにされるがままになっている。
どれ程の時が流れたのだろう。俺の唇を十分に味わったであろう頃にファフニールはそっと唇を離す。
「うむ! 人間は夫婦になると接吻をするのであったよな! これで我とカイトは夫婦じゃ!!」
「…………は??」
人化は最早テンプレですよね。
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