空中爆発
目の前で俺の一番大事な体の一部が銀色のロボットを付けたまま離れていく。
と、その時、なぜかロボットの赤く輝くLEDの目と強風で細めた俺の目が合った。
銀色ののっぺりした顔は何の表情もないはずだが、一瞬にやっと笑ったように見えた後、赤い目が点滅し始め、すぐに消えた。
次の瞬間、爆音と白い閃光に包まれたところで俺の記憶は途切れた。
次の記憶は、清潔な白い天井だった。
どこかで見たことがあるような模様があるパネルで作られている天井だ。
どこだったかな。何度も見たことがある・・・
そうだ、この天井はユーリ連邦の軍病院の病室のものだ。
ミッションで負傷して帰還した時には、必ずこの柄の天井の病室に入院していた。
まだ朦朧としている意識で、どうやってここまで帰って来たのか思い出そうと試みたがどうしても無理だった。
その時、白色だけの視界に黒い影が現れた。
顔だ。
どこかで見たことがあるかわいい顔だ。
「あ、気が付いたのね。よかったわ。ジャックさ~ん、ケンジさんが気が付いたわよ」
そうだ・・俺はこの娘達を助けるためロボットを腕に絡めたまま、飛行機から飛び降りたのだ。
そして、落下途中にロボットの自爆に巻き込まれ・・
「ケンジ、よかったなぁ。大丈夫か?具合はどうだ?」
親友のジャックの懐かしい顔が寄ってきた。
爆発以降の記憶がないが、どうやらなんとか帰ってこられたらしい。
体の具合を聞かれ、改めて心配になった。確かにあの爆発に巻き込まれて、今生きてはいるものの俺の体はどうなったのか。
とりあえず痛みはないようだ。
用心しながらゆっくりと手足など各部を動かしてみる。
俺がモゾモゾ動き始めたのを見たジャックは
「新しい右腕はまた作ってやるから、とりあえずその汎用タイプを使っていてくれ」
と言った。
確かに、見慣れない右腕がついている。1年に1回の右腕のオーバーホールの時に代腕で借りるタイプのものだ。
いつもの腕とは比べ物にならないが通常の生活には支障はないはずだ。
他も動かしてみる。
博士に作ってもらった左足は全く問題がない。痛みもなくちゃんと動く。
自前の右足、それに胴体など他の部分も怪我も痛みもなく、全く異常がないように思える。
体の各部をチェックしながら、飛行機からパラシュートなしで飛び降り、ロボットの自爆に巻き込まれたにもかかわらず、ほとんどケガもなく、いったいどうやって帰還できたのだろうか。
様々考えてみたものの、あの状況ではどう考えても生き延びられる可能性は限りなく「0」だ。
だが、実際俺はここで生きている。
いったいどうやって生き延びたのだろうか・・等と考えているうちに、ふと気が付いた。
自前であるはずの右足がなにか変だ。
見慣れた古い傷跡が全くなく、やけにきれいだ。それにこの感覚は・・
「あっ・・」
俺は思わず小さく叫んだ。




