覚悟のスカイダイビング
俺は、ロボットに刺さった右腕を引き抜こうとしたが、反対側に飛び出した手をロボットに掴まれているため離れることができない。
ロボットのLEDの点滅が徐々に早くなっていく。
もう一度ロボットを腕から離そうと試みたが、頼りの義腕にまとわりついたロボットは俺の手を握りしめたまま固まっている。
ここまでか。
俺は瞬時に腹をくくった。
特殊情報部員の宿命か、軍に入った時からこの判断に躊躇しない覚悟はできていた。
俺は一瞬博士と視線を合わせると、ニッと笑い大声で叫んだ。
「キャプテン!こいつ爆発するぞ!ハッチを開けてくれ!」
さっきから操縦に手こずっていたパイロットは、さらなるアクシデントに悲鳴を上げた。
「なに---っ!」
だが、やはり軍人であるパイロットは対応が早い。驚愕しながらもすかさず後部ハッチの開閉スイッチを操作した。
途端に機内は暴風が荒れ狂い、何かに捕まっていないと機外に吸い出される状態になった。
いつ爆発するかわからないロボットを右腕に絡めた俺は、ハッチの先端が通れる程開くまで待たずに、わずかにあいた隙間目掛けて突っ込み、博士につけてもらった強力な左足をぶち込んだ。
「ガッ」という鈍い音とともにぐっと開いた隙間から、俺は自爆するロボットとともに機外に飛び出した。
何の準備もしていないスカイダイビングだ。
眼も開けられない程風圧がすごい。
耐え切れずくるりと上向きになった。
空が青い。
パラシュートもなく、この高度から落ちたら間違いなく命はない。それどころか、多分途中でこのロボットが爆発し、痛みも感じずあの世に行けるだろう。
まあ、それも悪くない。
すっかり覚悟を決めた俺は、右腕に元凶のロボットを付けたまま、飛び出してきた飛行機を見上げた。
見る見るうちに遠ざかっていく。
これだけ離れれば今爆発しても皆には影響はないだろう。
ふと、人間、死ぬ直前には、それまで生きてきた記憶が走馬灯のように蘇るという言い伝えを思い出した。
もうすぐ始まるのかな・・と思ったが、全く出てこない。
なぁんだ。やっぱり単なる迷信なんだな・・と妙に納得していると、突然、ガクンと右肩に衝撃が走った。
見ると、ロボットが絡まった右腕が、腕の付け根の部分からはずれ、強風にあおられな
がら俺から離れていく。
もちろん、自爆する予定のロボットを付けたままだ。
俺の義腕は特注品で、そんなに簡単に外れるものではない。このタイミングで外れるなんて全く意味が分からない。
だが、事実は事実。




