エピローグ
そう、この感触は間違いなく少女博士が作ってくれた左足と同じなのだ。
しかも、その感触は右足から胴体の真ん中あたりまで続いている。
どういうことなのか・・・
自分の体を触りながら混乱していると、博士が近づいてきて心配そうな微笑みを浮かべ言った。
「気がついたわね。どう、体の具合は?」
「この足は・・それに俺はどうやって生き延びたんだ?」
クリス博士は、俺の右足を触ってチェックしながら
「そう、あの爆発であなたの体はかなりの損傷を受けたのよ。生きているのが不思議なくらいね。それで私が開発している高速再生クローン技術を適用して内臓部分は前と同じように再生できたんだけど、右足は、骨の再生は時間がかかるし左足の前例もあったので、左足と同じように有機型義足をつけたの・・いけなかった?」
ここまで出来上がった体を見て、今更いけなかった?と言われても文句も言えない。
俺はしどろもどろになりながらも
「え、、まあ、助けてくれてありがとう。クリス博士」
というしかなかった。
「それから、あなたが助かった経緯は、ジャックさんが説明してくれるわ」
クリス博士がそう言うと、ベッドの反対側にジャックが現れ説明し始めた。
なぜ現場にいなかったジャックが説明するのか不思議に思っていたのだが話を聞いて納得した。
「ケンジ、お前がまだ機内にいるとき、人差し指通信を使おうとしただろ?あの時、僕も超空間通信に接続してたんだ。そしてそのまま繋がりっぱなしで音声でお前の動きが分かったんだよ。お前の右腕が外れたのは、僕が遠隔操作したからなんだ。もう少し早くできればよかったんだけどな。あの腕の遠隔操作は結構面倒なんだよ。ただ、すごくラッキーだったのは、あの爆発でお前の落下速度が相殺されてすごく遅くなったらしく、ノスリルのエージェントの咄嗟の判断で輸送機にあったプライベートジェットを使ってギリギリでお前を空中回収できたそうだ。大した悪運だよ。でも、爆発の規模がかなり大きかったんで瀕死の重傷だったんだぜ。本当によかったな。クリス博士がいてくれて。もしいなかったらとっくに死んでいる」
なるほど。プライベートジェットが搭載されていたのか。気が付かなかった。確かにそれがあれば俺を空中でキャッチできるかもしれない。
それにしても、二人とも俺は瀕死の重体だったと言っているが、いったいどこがどうなっているんだ?
俺の体は?
「そうね」
クリス博士が、ちょっと困ったような顔で話し始めた。
「細かいところは、あとでカルテでも見て頂戴ね。ざっくり言えば、内臓はとりあえず再生できて前のまま、生身だった左腕と右足は、爆発に巻き込まれて使い物にならなくなったので有機型義足に取り替え、あとは、爆発の破片が刺さって右目は摘出・・」
その後をジャックが引き継ぎ言った。
「後には僕が作った義眼を入れておいた。全く違和感ないだろ?」
えっ?右目が義眼?全く気が付かなかった。
「しかも、もちろんただの眼じゃない。左目をつぶって右目だけで見てみろ」
言われた通り左目をつぶってみると・・右目の視界の中に様々な数値やマークが見えてきた。
まるで戦闘機か何かのターゲットスコープのようだ。
「どうだ?慣れてくれば目の動きだけでスイッチを切り替えられるようになる。ズームやミクロ、熱線やX線など色々な機能がある。おもしろいだろう?」
なにがおもしろいだ!完全に人の体を実験用としか思ってないようだ。
もともと、天才技術者のジャックにはそういう傾向があったが、それに付き合ってきた俺の身体はだんだん人間離れが激しくなってきた。
これから、俺、どうなるんだろう・・
不安に暗くなった俺の顔色を尻目に、ベッドの横では目をキラキラ輝かせた天才少女博士が声を弾ませて微笑みかけてきた。
「大丈夫よ。しばらく私がついていてあげるわ」
とりあえず、今回のミッションである天才博士の確保は成功したようだ。
END




