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瓦礫の中で・・

 そんなことを思いながら次の行動を躊躇していると、やつらが出て行った出入り口に人影が現れた。

 白衣を着た研究者のいでたちで、髪を七三に割け黒縁のメガネをかけて変装しているようだが、とにかくでかい。

 2m近い身長は隠しようもなくとても目立つ。

 Mr.Jだ。


 多分、博士が迎えにくるように手配したのだろうが、肝心の天才博士はさっき出て行ってしまった。

 Mr.Jは、白衣とメガネが気になるのか、部屋の入り口に立ったまま自分の服装をいじりながらもじもじしていたが、ふっと目を上げ、やっと部屋の惨状に気がついたようだ。

「こ・これは・・」


 俺は、Mr.Jの視界に入るように手を揚げて合図した。

 Mr.Jはまるで戦場のような研究室の中にぼろぼろの手術着姿の俺を発見すると、床の瓦礫などものともせず目を三角に吊り上げ俺に近づいてきた。

「博士はどうした!?」


 元々は浅黒い顔が興奮のせいで赤黒く変色し口角につばを溜めながら、いきなり手を伸ばし俺の胸倉を絞り上げた。俺の身体は軽々と宙に浮いた。

 相手は、いざとなったら豹に変身してしまう獣人だ。

 人間の姿をしている時でも身長は2m近くもあり、腕力も半端ない。


 普通の人間ならばあっさりと首の骨が折れるところだが、俺は咄嗟に戦闘モードに換えた右腕で、MR.Jの手首を掴み首に指が食い込むのを防ぎ、逆に絞り込んでやった。

 常人の100倍の力が出る俺の右腕だからこそ、この獣人に対抗できるのだ。


 メキメキと音を立てて俺の指がMR.Jの手首にめり込んでいくと、さすがに興奮で赤黒かったMR.Jの顔もみるみる青白くなり、その表情から闘争心が消え苦悶の影が出始めている。

 俺はそのまま、MR.Jの手を俺の首筋から引き離し無事着地した。


「博士は、ザビ共和国の工作員と一緒に出て行った」

 俺のその言葉を聴いたMR.Jは俺に締め付けられた手首をさすりながら目をむいた。

「!ザビ共和国!、なぜザビ共和国がここに・・」

「そうか、そっちでもザビ共和国の情報は掴んでいなかったのか・・」

 MR.Jに聞けば何かわかるかと思っていたが、俺と同じレベルの情報量のようだ。


 さてこれからどうするか・・

 博士がいなくなった今となっては、ここにいる必要は全くない。それどころか博士という後ろ盾がいなくなったことで、敵地に裸で放り出されたようなものだ。とにかくこのビルからは早く脱出するに越したことはないようだ。

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