筋肉通
「いってえ~」
ミドルが肩を押さえている。
「あら、筋肉痛?」
ハローデン王国では、王女とて甘やかされない。デジタル社会で懸念されるのは、力仕事を生活から除外していくとジリ貧になる、ということである。
「昨日の現場仕事じゃないか? いつも以上に張り切ってたもんな」
丸太ん棒を担いで坂道を何十往復もするバイトであった。
「修行よりも修行になってるじゃん」
鍛えるからといって殊更新しいことを始める必要は無い。人生が日々の修行場である。
「まあ、明日じゃなくて良かったよ。二日後に来たら老化の始まりなんて言うもんな」
「カレーのようにはいかないわね」
痛みも熟成させるのだろうか。
キョーコはウィルもダジャレを言うのだなと勝手に勘違いした。
「俗説だけどな。ただ、翌日痛みが来た方が安心感があるのは分かる」
翌日の痛みは若さの証しか。二日後なんて、原因を忘れてしまっている。
「ヒッショーみたいにハードトレーニングしててもなるんだから、ガテン系の人ってやっぱりスゴいね」
伝記には載らない無名の偉人達でこの世は成り立っている。
「俺は筋肉至上主義じゃないけど、こういう作業で戦いの勘も養われる感じはあるぜ」
あまり触れないが、力仕事をこなすミドルとススムに、ウィルとキョーコが好意を抱くのは自然なことである。
「ゲームや虚構空間でいくらお金持ちになってもね」
智恵を活かすには、自ら動き出さなければならない。
「なんにせよ、動きすぎて腹減った!」
本日の当番はウィルである。
「今日は牛カツ丼よ!」
カツ丼のように、ちゃんと卵でとじてある。
牛カツ丼を食べて、活動ン的になろう。




