魔法修行!4
最終的に、球は青白いような、薄緑色と白が混じったような、コスモを感じれそうな色合いになった。
「白に近ければ近いほど良くて、色が暗いと微妙なんだけど…まあ、子供でしかも才能のかけらも無くてこれは驚異的だね、まさに執念!って感じだ。」
「へいへい。執念深くてすいませんね。」
本当は模様の入り方やらなんやらで魔法の適性もわかるそうだが、全力全開を打ち込んだために魔法の適正云々の微妙な波紋は見れなくなってしまったらしい…ま、どうせ影の一部と空間、それくらいだろう。
…尚、どちらも基礎属性よりも弱いと噂である。
「さて!じゃあちゃちゃっとやっちゃおうか。」
「そうっすね」
これでようやくまともな武器が手に入るのだと思うと泣けてくる。そう思いながら枝と取り出し上の部分にある意図せず台座のようになっている場所に球を嵌め少しだけひねると枝の方がまるで宝玉を締め上げるように締まり、ガッチリと銜え込み、同時に持ち手をつかんでいた俺から魔力を少量吸収し色合いを明るい茶色から、黒金のような黒く、しかし滑らかなツヤのある色に変化させた。
「完成、だね!…むむむ、なかなかの魔力を感じるよ〜これは名前付きぐらいかなぁ?」
「名前付き?」
彼女は俺の杖を手にとって眺めながら意味深な単語をこぼす。それを見逃す俺では無い、というかなんだそのそれっぽいワード、ワクワクすっぞ!
「うん、名前付き『ネームド』とも言うね、これは世界の法則に則ってつけられる名前を持った魔力を持つ武具の事、具体的な理由とか、原因とかはわからないけど、なにがしかの点である一定の特徴を持っている時、世界に満ちた魔力によって名付けられた武具や魔物が『ネームド』って事だね!」
「へぇー」
「最も有名なので言うと…今は君が所持者になっている『アンサラー』『デゥランダル』、実はデゥランダルと言う銘を持った聖剣や反転魔剣が存在するし、それらのうち殆どは神と精霊と聖霊によって生み出された神造兵器、だけど君の持っているそれは人類の最高峰、唯一にして無二の人類によって作られた神に届きうる武具、それにつけられる名が『アンサラー』、そして剣としてある一定以上の力を持つ称号として『デゥランダル』今のところはっきりとした基準が見えているのはアンサラーくらいだね!」
意外と身近にあった。というか、この世界はどうにも神様が近すぎるような気がするんだが…
「あっ!神造兵器で思い出したけど、君は加護なんて厄ネタ持ってないよね?」
「え、まあ、普通ないですよね。」
「うん、普通は先天性だし、これ以上手に入れられるような機会もないんだけど…気をつけてね。この世界は森羅万象あらゆる神仏魔性が蔓延っている。君が生きたいと願うのはいいけど、彼らを前に、争わない事だよ…」
そういう彼女は非常に真剣で、どこか遠くを見ているような気がした。
「さ!気を取り直して修行だよ!修行!君の『夜空の杖』は返すね」
「そんな大層な名前がついたのか…」
「ちなみに、ネームドの中でも最低位、当たり前だけど子供が作ったものが名前付きになるのはたとえ特殊効果やなんやらが無くても異常だからね!」
ま、そう言うと言う事は大体大人の作る。俺がもし大人の魔法使いが作るような杖を作ろうとすれば、今さっきより死にそうな目に会いながら作らないと相当に程度の低いものになるってことか…才能って悲しいな。
「じゃあ、次の段階、杖を使って魔法を発動させてみようか!」
「わかった」
杖を作ったのもあり、すでにその構造と機構はわかっている。とりあえず魔力を通し地道に増幅させる。
「じゃあ、基礎魔法、生活魔法から少し逸脱した戦闘用の魔法を一つ詠唱して撃ってね!」
「…え?」
詠…唱…?
「ぬ?解析で全部覚えてはいるんだよね?」
「まぁ、一応…」
「じゃあ詠唱で!」
「…」
さて、じゃあ、どうしましょうかね…風とかにしとくか?
「『嵐よ来たれ、あいの風にて全てを薙げ』!『ウィンド』!」
詠唱とは言葉、力ある言語として定められた神や龍の言葉を削り、人のみでも使えるように改悪した魔法言語による祝詞、唄である。俺はあまり好きじゃない…というかしっくり来るように唄を変えると規模が大きくなりすぎて制御できず、難しいのだ。
今も軽く改変を入れたが…
「ああああ!?ちょっとつほぃぃぃ?!」
…東風の夏の季語、あいの風と嵐が俺のイメージ、連想によって台風を呼んでしまったらしく。中庭に小規模な台風が巻き起こった。
「ばか!ヒミツ君のバカ!初級の、しかもあんなちゃっちいお掃除魔法の応用周囲の風速を瞬間的に100メートルにしないでくれるかな!?」
「ええ、なんというか、すいません…こんな威力が出るとは思わなかったんです…」
正座させられた上に成人女性に乗られるという人によってはすごくご褒美な罰を受けつつ罵倒されながら、一応言い訳をしておく。なにせ俺に初級だろうがなんだろうが基礎属性の魔法をあんなに強力に発動させる力など、なかったはずなのである。いくら杖をもらったからといってあんな風になるとは、誰が想像するだろうか…と言うか、増幅されるとしか聞かされてなかった俺にそんな落ち度はあるだろうか…
「もう!ばか!エッチ!私のパンツ見たでしょう!」
「え?興味な「それはそれでだめだー!!」…えぇ」
気がすむまで一応弟子である俺の胴体にポカポカと攻撃したら、彼女は咳を一つして俺に向き直る。勿論立ってだ。
「さて、これで君も魔法使いの仲間入りさー、イエーイ!」
「そのテンションの高さ分けて欲しいですね…」
「ヴァカだね〜君は、こんなの無理してるに決まってんじゃん☆」
ウィンクしながら殺意を飛ばさないで欲しい、その無作為に放たれた殺意がベオウルフ君に当たって、というか多分性格が宜しくない彼女だ、わざと気当たりを起こして…
「ふんぬぅ!」
「ごはぁ!?」
…
「今日は50メートル…まだ朝だからだね!」
「はぁ…怒るなら俺に怒ってくださいよ…」
「えー、だって彼の外側君とっても僕に当たりが強いんだもんー、仲良くできないもんねー」
さて、それはそうと、杖が魔力を多少強化しただけでマッチの火の変わりやら、それこそ彼女がいったように箒の代わり程度にしか使えなかったはずなのにこんな風になるのだろうか?
「ああ、それはね…杖には魔法そのものを強くする力もあるんだYO!」
「…じゃあ早く言ってくださいよ」
原理としては杖は生きた木が原料であるがために周囲の魔力を吸う。そして吐く機構も当然のように備わっているはずなのだが…杖の場合それが宝玉のある位置になっており、吐き出すはずの魔力をそこに蓄積し、持ち主が魔法を放つ際にその魔力を強化し、さらに属性を上乗せして撃ち放つ。
「この時、最も相性がいいのが言葉、言霊によって現実を歪める魔法言語の詠唱、君の使う簡単化された強化魔法系統の『硬化、加速、相乗』の組み合わせのようにその力を乗算で上乗せするのだ!」
…と、まあいいたいことはわかったが…
「で、修行は?」
「それは明日からだね!」
そんな説明をしながら今日も一日魔力操作をするだけなのであった。




