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魔法修行!2


魔力循環と、放出、この二つを同時にするのはブレーキをかけながらアクセルを踏むような、そんな感覚である。なんだかヘンテコだがそんな感じの物なのだ。

実際、体内で魔力を内側に、より早く、よりコンパクトに循環させようとすると加速する魔力はどんどん重くなりそれを外に引っ張り出そうとしても巧くうごかせなくなってしまう。なので今は俺が放出、幽霊君が循環と役割を分け、それを交代しながら分割して行なっている。訓練としてどうかと思うが、これしかないのだから仕方がない、最初の五分くらいは自分で両方できるのだが、十分、二十分、一時間と時間が流れるにつれやり慣れている循環に比重が傾いてしまい一人では放出の為の力が足りなくなってしまうからだ。


「まあ、この勢いなら後半日ってとこだね、今日はもう休んでくれたまえ」

「なぜ偉そうに…いや、まあいいですけど」


今俺の目の前には節くれだち曲がりくねった枝がある。正確には原木だったものを削り出したので棒と言うべきだが、今目の前にあるのは誰がどう見ても『枝』だった。


「にしても見事な物だよ、君、本当にその『解析の魔眼』には解析能力以外ないの?」

「本当に解析だけですよ、魔眼…と言うか何にもない俺にとっては珍しく低コストで常時展開可能なだけですよ」


だからこそ、何かを、知っている物を見る時にその構造把握において他の追随を許してはいけない、今の俺の目の前には異次元めいた積層魔法陣でその身を包むヒトらしき何かがいるが、日々そこから読み取れるわずかな、ホンのかけらほどの情報は俺のこれまでの一年半とは比べ物にならないほどの有益な情報を提供する。


…ちなみに、杖の構造、見た目については本当にたまたまだ。俺の洒落たデザインなんてものはできない、枝のように見えるのは原木の中に存在する魔力の通り道、維管束的な何かを芯に端の方に存在する魔力を蓄積する謎器官、魔力反反射し増幅する器官などの必要な部分以外を削いだ結界こうなっただけだ。


「さぁて、今日のご飯はなんじゃろなー」

「シチューですよ、コンソメはもう出来てるのでさっさと作っちゃいますから大人しく部屋にいて下さい」


ちなみに、ベオウルフ君は『チキチキ!ガウェイン卿と楽しいパーフェクト格闘技講座』に強制参加中である。


「グワァー!?」

「もう夕暮れだというのに…私の力は手加減も合わせると昼の数万分の一ですよ?いい加減一発くらい当ててください」


…ちなみに、長い間生きてるだけあって剣技以外の技術も超一流、ただ、その魔力と加護によってそれら全てを超越した力を保持しているので目立たないだけ…らしい、というか関心するを通り越してやばい、人間、サボればサボるほどそれを取り戻すのにはその数倍の時間と労力を必要とするが、それを一切無視して存在しているならまだしも、寿命がないだけのただの人間(普通ではない)があそこまで技術を保持し続けられるのかと呆れてしまう。

さらに異様な点を挙げるとするなら、彼にはそんなもの不必要なのに、意味がないのにもかかわらず、だ。


「すぅ…ハッ!」

「ぐぶあ!?」


呼吸から発生する身体全体の連動、あらゆる武術における基本にして奥義、そして長きにわたる研鑽の末に生み出した認識を超える速さの拳、身体能力が下がってようやく目視できるが、これで数万分の一とか笑えない、冗談ではない。


ちなみに一撃ではなく上中段の蹴りから派生する打撃蹴撃の混成10連撃、真似できないかどうかで言われたら、限界突破して再生を捨てた上で制御できない加速術式を数十枚連続で使って撃った後ボロ雑巾のようになった挙句死んでもいいなら使える。…いや、それは使えるうちに入ら無いな。


「ほーら!外ばっかり見てたら焦げちゃうでしょ?」

「あ!師匠辞めてください!キッチンに入らないでください!暗黒物質を食うのはもう懲り懲りなんです!」


なんか…ガレス師匠が俺の修行とか日常生活で全然しない全力での抗議にこの世の終わりみたいな顔をしているが、当たり前である。

…この世界の家事炊事、というのはかなりのところを簡単な魔道具、いわゆる『転生者による文明の以上発達』の良い側面、電化製品の魔法による再現に頼っている。まあ、ここまで言えばわかるだろうか?…いや、無理だな、だが想像には難くないだろう。彼女は俺に見られたくないのか、それとも造ったと言っていた肉体の都合からか、その身に常に何重にも重なった魔法陣を展開している。通常ならそれらは干渉し合い、爆発しようがこの辺り一帯を更地にしようがおかしくないのだが、それは師匠の神業的な制御でなんとかなっている。…だ、が、し、か、し…


「あなたが近づくとこの前新調してもらったキッチンが吹っ飛ぶでしょ!」

「うわーん、だって僕この魔法解いたらただのか弱い女の子なんだもの〜仕方ないでしょー!」


…そうなのだ。魔法陣同士は干渉し、魔法具、魔道具は概ねその核に刻まれた魔法陣によって動いている。そこに魔法陣、魔法まみれの彼女が入ればどうなるか…そして彼女の『ドキドキクッキング(失笑)』がどれほど凄まじいものだったのか、


…すまない、ちょっと吐き気がした。

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