~閻魔大王の視察~
~閻魔大王の視察~
アトランティス中央塔前の広場。
「あー!えんまさまだーー!こんにちはーー!」
「あら閻魔大王様!視察ですかい?」
小野篁が我の部下になって数千年。ワシの仕事も楽になって……とは大きな声では言えないが。
時々こうして街に出ておる。
♢♢♢♢♢♢
その頃、冥界文官室
「まーたやーー!また閻魔大王様がー視察へ行きおったー!」
「いいじゃないですか。たまになら、この仕事は私が片付けておきますよ。」
「篁さーーん!ほんま助かります!」
「アトランティスは平和ですね。人の世は争いが絶えませぬ。」
「そりゃあれや、閻魔大王様や。
」
「え?」
「閻魔大王が街をうろうろしている世界で悪いことする輩おらんやろー!」
「ああ。そういうことですか(笑)閻魔様が街の治安をお守りになっていると。」
「……サボ……あ、そうや!篁さん!なんやアレや、生前は取引みたいなこと持ちかけてすまんかった。」
「取引?」
「……ここで働くことと引き換えにお友達を甦るよう……」
「ふふ。その話ですか。その話が無くても私はここに残ってましたよ。」
「そうなんです?」
「ええ。皆様お忙しそうでしたしね。さぁ、口より手を動かしましょうか?暗黒童子さん(笑)」
♢♢♢♢♢♢
「おーい!閻魔さまー!串肉食ってかねーか?」
「剣聖グレンではないか!久しぶりだの。」
「その呼び名照れ臭いからやめてくださいよ。」
「串肉か?我はベジタリアン……」
「閻魔さま、そのボケ聞き飽きましたぜ。」
「ガッハッハ!串肉はそこに隠れてる者にやるとよいわ!」
屋台の側、木の陰から1人の中年男性がキョロキョロ辺りを見回しながら顔を出した。
閻魔大王の鋭い目が光る。
「そやつ、初七日前の様じゃ。グレンの肉を奪おうとしておったぞ。」
「お?元剣聖にケンカ売ろうってか?」
初七日前の男性はその場を一目散に逃げ出した。
こうして今日もアトランティスの治安は守られているのでした。
♢♢♢♢♢
【冥界・小野篁】
しかし平和ですね。この街は。
死者は絶え間なくやってくる。
私の仕事は閻魔大王の補佐官。
大量の資料の中で今日も明日も働くのだった。




