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~アララト山からの救難信号~

~アララト山からの救難信号~


【幸のいる現代から5000年ほど前のお話。】


地球(地上)は隠され閉ざされたアトランティスの観光地となっていた。

団体旅行も行われており、中型・大型船で上空から地球各地を巡るというものだった。

地上人との交流も少なからずあった時代の出来事。



♢♢♢♢♢♢


ピーピーピーピー!


中央異世界観光旅行監視室の警報が鳴り響く。


「団体旅行の舟から救難信号!アララト山、山頂付近!」


「乗員乗客の安否は?!」


「今、機長からの連絡待ちです!!」


ガーッガガガーッ!


「こちらアララト山、観光船【不知火(しらぬい)】機長の羽羅呉(バラゴ)。機体は山頂付近で着座礁。救助を要請する。」


「副機長の出洲都(デスト)呂威阿(ロイア)が乗客の安全を確認した。現場は統制できている。慌てず来てくれ。」


「乗客の数は!?」


「満席で約100名。ヒト族、獣人族、竜人族、小人族、ドワーフ族、エルフ族。負傷者数名。エルフが回復薬にて応急処置をしている。」


「船は動かせそうか?」


「無理だ。魔素変換装置が破壊されてる。」


「では!小型救護船を派遣する!フタマルマル時間後到着予定!」


「了解!」


「着陸出来そうなスペースはあるか?」


「無いな。切り立った岩山だ。」


「では簡易ワープゲートを先ず降ろすのでそれで救護船にワープさせてくれ!」


「了解。」


その頃船内では……


「毛布こっちにたくさんあるぞーーー!」

ドワーフが毛布を配り始める。

魔素変換装置が破壊されて船内の室温が急激に下がりはじめていた。

獣人たちは身を寄せい暖をとっている。

エルフたちは、回復薬、体を暖める飲み物を配っている。


船体が風にあおられ、小さくきしむ。

「外には出ないで下さい!危険です!」

CAの声が絶え間なく響いている。


竜人の老人が口を開いた。

「安心してくれ。アトランティスからの救援は直ぐに来る。皆は落ち着いてそこにいるのだ。」 


この竜人は機長の師であり元パイロットだった。


数時間後。

小型救護船が数機上空へ到着した。

小型ワープゲートが降ろされる。


「年寄り子供を先に!次に女性。俺たちは最後だ。」 

獣人の男性が指揮を取る。


CAが順番に乗客をゲートへと案内していく。


ーーーコックピットーーー


「こちら、中央異世界観光旅行監視室!機体は隠せそうか?」


「駄目だ。結界へも動力が回せない。」


「外から機体を確認出来そうか?」


「……吹雪は止んだ……今なら……外から確認してみる。」


機長が外へ出るとそこには……

1人の地上人が倒れていた。


「何故、こんなところに地上人が?……放ってはおけない。保護しよう。」


「こちら、不知火。地上人を1人保護した。」


「地上人?」


「ああ、外に倒れていた。」


「で、機体は隠せそうか?」


「無理だな。置いていくしかない。」


ーーーその頃地上人ーーー


「え?ここはどこですか?」


「観光船の中ですよ。」


「え?え?わたし、アララト山に創造神の神業をこの眼で見るために……のぼ……っ。て。」

「コレ?神業?み、わ、ざ……?」


「そこのお人、体調どうかしら?」

エルフが回復薬と暖かい飲み物を差し出す。


(び、び、美人だー!)


目の前に長い耳の美人。


奥には……

(獣?人?獣人?動物?な、な)


さらに隣には

(角?鱗?ドラゴ…ン?人?え?)


CAが地上人に声をかける。

「ご安心下さい。こちらの救援活動が落ち着き次第、麓までお送りいたしますので。」


「……あ、ありがとうございます。ぁあ神よ。ありがとうございます。」


(目の前から人が1人また1人と消えていく。これぞ神業!)


「地上人の方ーお次どうぞーー!」

CAが声をかける。


「おおおおお!これぞ!これぞ!」


「どうぞーー!お送り致します。」



ーーー救護船ーーー


「こちら不知火機長羽羅呉。全ての活動を終え、アトランティスへと帰還する。」


不知火本体は「そのまま」アララト山に残された。



♢♢♢♢♢


【地上人の目撃証言】


「アララト山の山頂付近で遭難した舟を見ました。

獣人が乗っていました。

乗ってた人は全て助かりました。」

「わたしも神業により救われました!」



♢♢♢♢♢


この事故をきっかけに

アトランティスからの観光船事業は廃止され、飛竜による個人観光が主流となり現在へと続くことになるのだった。






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