3日目~ドワーフ街へ~
宿泊棟を出ると、朝の街はすでに活気に満ちていた。
石畳の大通りは役場を中心に放射状へ伸び、その先には天へ届くかと思うほど高い塔がそびえ立っている。塔を囲むように食堂や商店が軒を連ね、買い物袋を抱えた住人や、仕事へ向かう人々が足早に行き交っていた。
通りの一角では、ひときわ大きな声が響いている。
「AIWatch18ー! 本日発売でーす!」
「ん? 18?」
「新モデルデスね。カメラ機能が強化されてイマス。」
「バッテリーも長持ちするようになったとか?」
「AIWatchは空気中の魔素で動いてマスので、電力は必要とシマセン。」
す「……じゃあ、俺も買い換えようかな?」
「申し訳アリマセン。支援対象外デス。」
「ですよね。」
AIWatch専門店の向かいには、大きなギルドが建っていた。朝早いというのに、鎧姿の冒険者たちが受付に列を作り、依頼書を手に楽しそうに話している。
「今日はあっちじゃないんだよな。」
今日は鍛冶で有名なドワーフ街へ行く予定だ。
役場から少し離れるにつれ、建物は落ち着いた雰囲気へ変わっていく。遠くからは、規則正しく鉄を打つ音が聞こえてきた。
カン。
カン。
カン。
「もう始まってるみたいだな。」
「ドワーフ街は、この先デス。」
音に導かれるように歩みを進めると、石造りの建物が並ぶ街並みが少しずつ姿を現し始めた。
ドワーフ街へ足を踏み入れた俺は、上空からアトランティスを見たときから気になっていたことをAIWatchに聞いてみることにした。
「アトランティスって城塞都市だよね?」
「ハイ。」
す「じゃあ城壁あるよね?」
「ハイ。」
「城壁って上れる?」
「ハイ。」
「行きたい! 今から目的地変更できる?」
「変更は必要アリマセン。」
「この先に見えてきマス。」
「でかっ。」
思わず声が漏れた。
……家が、だ。
その隣には普通の民家ほどの大きさの家が建っている。
「巨人族って、家の大きさバラバラなんだな。」
「個体差がありマス。」
城壁に近づくと広場が見えてきた。
そこにはたくさんの巨人族がいた。
子供、と言ってもゆうに2メートルは越えているが、楽しそうに走り回っている。
俺は、巨人族の一団に声をかけてみることにした。
「あの……皆さん大きいですね。大きさ全然違うんですね。」
「遺伝だど」
(固体差は代々受け継がれてイマス。)
AIWatchの声が頭の中に聞こえた!
(お話の邪魔をしないよう、
念話モードに切り替えマシタ)
(捕捉シマス。アトランティス住民は、地球文明に大きな影響を与えない範囲で地上へ外出することが認められてイマス。
そのため各地に目撃情報や伝承が残って……)
「!!!!!!!ビッグフット!!!」
俺は思わず声に出した。
すると1人の巨人族が
「それ、俺たち」
「じゃ、雪男は?」
少し毛むくじゃらの巨人が
「それ、オレ」
「じゃ!じゃ!だいだらぼっちは!!?」
「おで」
振り返ると、そこには……。
城壁の前に三十メートルはありそうな巨人が立っていた。
気がつけば日も暮れ、俺は巨人達と取り留めのない会話を楽しんでいた。
(あ、結局城壁に上らなかったな。)
(この時間ですと、翌朝に上ることを推奨シマス。)
俺は巨人族に紹介してもらった、ヒト族サイズの宿に一泊することにした。
この宿のベッドのサイズも二メートルを超えていたけど。




