33日目 ~三大怨霊に囲まれて~
33日目 ~三大怨霊に囲まれて~
翌朝、俺は次の行き先を考えていた。
「ん?そういえば、お前三日間静かだったな?」
「………デス。」
「何か話せよーー!」
「あ!俺さ、安倍晴明昔から好きなんだよ。安倍晴明神社に行こうかな?」
「安倍晴明神社は京都市上京区に位置シマス。平安時代を代表する陰陽師・安倍晴明公をご祭神トシ、境内には五芒星紋や晴明井、一条戻橋ゆかりの地などが存在シ、陰陽道文化を今に伝える神社デス。陰陽師ファンにも人気の高い観光地でアリ……」
「お前、話したかったんだろ?(笑)」
「………デス。」
「行こう。」
「安倍晴明神社へご案内シマス。」
眩しい光が消える。
目の前には、大きな鳥居が建っていた。
紙でできた一枚の人形が、ふわりと宙へ浮かぶ。
淡い光に包まれ、人形は十歳ほどの少年へと姿を変えた。
白い狩衣をまとった少年は静かに一礼する。
「こちらへ。」
少年の後ろを歩き、本殿の奥へ進む。
やがて一枚の障子の前で立ち止まる。
少年は静かに障子を開いた。
「待っていましたよ。」
「……来たね。」
「待っておったぞ!」
そこには、菅原道真、崇徳天皇、平将門の三人が並んで座っていた。
「えぇぇぇぇぇっ!?」
「なんで皆さんいるんですか!?」
将門公が豪快に笑う。
「ファッハッハッハ!」
「また会おう言うたではないか!」
「って、翌日って!」
部屋に笑いが広がる。
菅原道真公が静かに口を開く。
「皆さん、揃いましたね。」
少年の式神がお茶を並べる。
「お茶でございます。」
続いて菓子皿を置く。
「本日のお菓子でございます。」
俺も席へ座った。
道真公が一本の鉛筆を手に取る。
「えんぴつって、ご利益あるんですかね?」
「えんぴつですか?俺、お土産も入れたら十本は買いました!」
「十本もですか。」
崇徳天皇が穏やかに微笑む。
「わざわざ香川県まで来ていただき、ありがとうございました。」
「香川県、一度行ってみたかったんです。静かで良いところですね。」
将門公は小さくため息をついた。
「首塚、ほっといたらすぐ都市開発されそうになるから、たまに呪うんだよ。ふぅぅ。」
「……首塚、再開発のニュースたまに見ますよ。」
「だろう?」
道真公と崇徳天皇は顔を見合わせた。
「都会は大変ですね。」
穏やかな時間が流れていった。
少年の式神が静かに俺の前へ歩み寄る。
「こちらでお休み下さい。明日、主人の安倍晴明様がお会いになるそうです。」
「え?」
俺……怨霊に囲まれて寝るの……?
穏やかな夜が、くるのだろうか……。




