32日目 ~三大怨霊ツアー・平将門~
32日目 ~三大怨霊ツアー・平将門~
【平将門の首塚は東京都千代田区のオフィス街にひっそりと佇む史跡である。】
眩しい光が消える。
気がついた時には、俺は首塚の前に立っていた。
「こんな静かな東京、初めてだ。」
「ファッハッハッハ!」
「待っていたぞ!」
突然の大声に思わず肩が跳ねる。
目の前には、鎧姿の武将が豪快に笑っていた。
「平将門だ!」
「あ……よろしくお願いします。」
「あの……。」
「首、飛ばしました?」
「飛ばしたが?」
「えっ。」
将門公は豪快に笑った。
「ファッハッハッハ!」
「何か聞きたいことがあるのだろう?」
俺は頷いた。
「……何から聞けば。」
将門公は腕を組み、大きく頷いた。
「では。話そう。」
「私は坂東の武士だった。」
「土地を守り、人を守る。」
「それが私の務めだった。」
「やがて戦となった。」
「討伐軍には藤原秀郷。」
「そして平貞盛。」
「従兄弟だ。」
「戦だ。」
「勝つこともあれば負けることもある。」
「私は敗れた。」
将門公の笑みが静かに消える。
「武士は戦で散るものだ。」
「それは受け入れよう。」
「だが!」
「首を斬られた。」
「首を晒された。」
「死してなお辱められた……」
「……恨むよ。」
静かな沈黙が流れる。
将門公は首塚へ目を向けた。
「それが、私が貴方へ話せることだ。」
「……ありがとうございました。」
俺は深く頭を下げた。
将門公は再び豪快に笑う。
「ファッハッハッハ!」
「また会おう!」




