30日目 ~三大怨霊ツアー・菅原道真~
30日目 ~三大怨霊ツアー・菅原道真~
眩しい光が消える。
目の前に広がっていたのは、大きな朱色の楼門だった。
「懐かしい……。」
修学旅行以来だろうか。
あの頃は友達と歩きながら、お土産を見たり、梅ヶ枝餅を食べたりしていた。
「もう一回来てみたかったんだよな。」
「菅原道真公がお待ちデス。」
「…………。」
「え?」
「え?」
「本人?」
(怨霊やん……。)
(いやいやいや……。)
(修学旅行の神社ちゃうかったん!?)
(幸サン、心拍数急上昇デス。)
俺は恐る恐る本殿へ向かった。
そこには、一人の男性が静かに立っていた。
「ようこそ、お越しくださいました。」
「何かお尋ねになりたいことがあるのでは?」
口を開こうとする。
しかし、何から聞けばよいのか分からない。
「……何から聞けばいいか。」
道真公は静かに頷いた。
「ふむ。」
「では。」
「私からお話しいたしましょう。」
「私は代々学問を家業とする菅原家に生まれました。」
「幼い頃から書を学び、詩を学びました。」
「十一歳の頃には漢詩を詠み、父を驚かせたとも伝えられております。」
「学び続けた結果、朝廷へ仕え、宇多天皇には厚く信頼していただきました。」
「右大臣まで務めましたので、世間から見れば順風満帆な人生だったのでしょう。」
一度だけ目を閉じる。
「しかし。」
「政争に敗れました。」
「身に覚えのない疑いをかけられ、京を離れ、太宰府へ左遷されました。」
「その地で、私は生涯を終えました。」
静かな声は変わらない。
「……私は、呪いました。」
ゴロ……
遠くで空が鳴る。
幸は思わず空を見上げた。
ピシャァァァン!!
神域の外で、一筋の雷が落ちた。
しかし、道真公は何事もなかったかのように続ける。
「無念でした。」
「悔しかった。」
「ですから、呪いました。」
「その後、落雷、疫病、干ばつ、そして皇族の相次ぐ死が続きました。」
「人々は、それを私の祟りだと恐れました。」
「やがて私を鎮めるため、この地へ社が建てられました。」
「それが、現在の太宰府天満宮です。」
静かな沈黙が流れる。
「それが、私が貴方に話せることです。」
「……ありがとうございました。」
俺は深く頭を下げた。
道真公は穏やかに微笑む。
「先ほど、崇徳天皇と平将門から、貴方とお話がしたいと連絡が来ていましたよ。」
「え?」
「え?」
「……訪ねてみます。」
「それがいいでしょう。」
「貴方の知りたいことを、きっと話してくださると思いますよ。」




