15日目【閑話】 ~掘ってみた~
15日目【閑話】 ~掘ってみた~
エジプトを出発した俺たちは、シナイ半島とトルコ南部で野営を済ませ、カッパドキアへとたどり着いた。
飛竜の背から降り立つ。
目の前には、不思議な岩山が広がっていた。
「……ここ?」
「ここだぞーー!」
ドワーフくんが元気よく頷く。
「普通の町にしか見えないけど。」
「地下だぞーー!」
「地下?」
俺は首をかしげる。
「こっちだぞーー!」
案内されるまま階段を下りる。
一段。
また一段。
さらに下へ。
「……。」
「まだ下あるの?」
「あるぞーー!」
さらに歩く。
部屋。
通路。
階段。
また部屋。
また通路。
「……。」
「広っ!」
「掘ったぞーー!」
「え?」
「ご先祖が最初に掘ったぞーー!」
ドワーフくんは壁をぽんぽん叩いた。
「ここ?柔らかいぞーー!」
「掘りやすいぞーー!」
「だから掘ったぞーー!」
「理由それだけ!?」
「最初はそれだけだぞーー!」
AIWatchが静かに補足する。
「凝灰岩は加工しやすい岩デス。」
「その後、人間たちが何世代にもわたり掘り進めたと考えられてイマス。」
「生活のため。」
「戦乱から身を守るため。」
「時代によって目的は異なりマス。」
「なるほど……。」
俺は壁へそっと触れた。
最初の一振りはドワーフ。
そこから先は人間。
何百年も。
何世代も。
掘って。
また掘って。
町を広げてきた。
「掘ってーー!」
突然ドワーフくんが叫ぶ。
「掘ってーー!」
「また掘ってーー!」
思わず笑ってしまう。
「掘ってーー!」
「掘ってーー!」
「また掘ってーー!」
AIWatchまで反応した。
「掘っテーー!」
「掘っテーー!」
「また掘っテーデス!」
「お前まで!?」
その時だった。
外で待っていたギュルルが元気よく鳴いた。
「ギュルルーー!」
「ギュルルーー!」
「ギュルルルルーー!」
「お前もかーー!」
地下都市へ笑い声が響く。
ひとしきり笑ったあと、俺は静かに周囲を見渡した。
ここは、一人が造った町じゃない。
一つの時代が造った町でもない。
掘って。
また掘って。
さらに掘って。
そんな営みが何百年も積み重なって、この地下都市は生まれたんだ。
「……すげぇな。」
「すごいぞーー!」
ドワーフくんは胸を張る。
「まだ掘れるぞーー!」
「もういいわ!」
思わずツッコむと、地下都市には再び笑い声が響き渡った。
俺達はカッパドキアで野営して翌朝、モヘンジョダロへ向かうことにした。
モヘンジョダロは途中1泊して17日目の朝に到着する予定だ。




