表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/75

10日目~竜と龍~

~10日目 竜と龍~


朝食を終え、宿へ戻る。


「さて。」


今日はどこへ行こうか。

AIWatchが絵地図を広げる。


「昨日は役場だけで終わっちゃったな。」


指で地図を辿る。

「獣人街……行った。」

「小人の娯楽施設……行った。」

「ダークエルフ街……夜の街……歓楽街……俺には必要……ないな。」


「……奥手なんデスね。」


「違うわ。」


地図を見ていると、一つの文字が目に入る。


『竜貸出所』


「竜貸出所?」


「アトランティスでは竜は重要な交通手段デス。」

「飛竜は長距離移動。」

「地竜は運搬などに利用されマス。」


「乗れるの?」

「可能デス。」


「ただし、乗竜訓練は初回利用者全員が受講しマス。」


「決めた!」


「今日は竜人街!」


♢♢♢♢♢♢


ワープゲートを抜ける。


白い漆喰。

黒瓦。

石畳。

竹が風に揺れる。


「……。」


「日本みたい。」


「東洋文化を基に独自に発展した街並みデス。」


静かな街だった。


すれ違うドラゴニュート達は軽く一礼を交わし、遠くから木剣を打つ音だけが聞こえてくる。


その時。


頭上を飛竜がゆっくり旋回した。


「すげぇ……。」


♢♢♢♢♢♢


「はーい!初めてのご利用ですねぇ!」

「こちらでぇす!」


受付嬢に案内され、訓練所へ入る。


「義竜指導員、おねがいしまぁす!」


奥には三人のドラゴニュート。


「初めてですかねぇ。私は概眼(ガイガン)頑張ると良いぞ。」


「ブッハッハッハ!我は呉慈羅(ゴジラ)と申す。」


そして一人が静かに前へ出た。


「我が名は義竜(ギドラ)……である。」


「本日は義竜指導員が担当しマス。」


義竜は短く頷いた。


「参ろう……である。」



「こちらは地竜……である。」

穏やかな竜だった。


さらに奥には翼を持つ飛竜がいた。

「こちらは飛竜……である。」


幸は飛竜を見上げる。


「そういえば。」

「竜と龍って違うの?」


「……違う。」

「西では竜は畏れられ。」

「東では龍は敬われる……である。」


AIWatchが補足する。


「地上では東西で伝承が異なりマス。」

「詳細は諸説ありマス。」


「へぇ。」

「同じドラゴンでも違うんだな。」


義竜は静かに頷いた。


「名は似ていても、同じではない……である。」


幸は飛竜を見つめた。


「子どもの頃から……。一度でいいから竜に乗るの憧れてたんだよなぁ。」


義竜は飛竜の首へ静かに手を添える。


「……それでいい。」


「え?」


「先ずは……心を通わせることだ……。」


義竜に促され、ゆっくり飛竜へ近付く。


恐る恐る鼻先へ手を伸ばいた。


飛竜は嫌がることなく、静かに目を細める。


「……。」

「よろしく。」


飛竜が小さく鳴いた。


義竜が頷く。


「……乗ってみろ。」


ゆっくり背へ跨る。


飛竜が翼を広げた。


ふわり。


身体が浮く。


「おぉっ……!」


高くは飛ばない。


竜人街の屋根より少し高い場所を、ゆっくり旋回する。


白い漆喰。

黒瓦。

竹林。

道場。


武人達がこちらを見上げ、小さく手を振る。


頬を撫でる風が心地良い。


「すごい……。」

「本当に飛んでる……。」


飛竜は静かに地面へ降り立った。

幸は背から降りる。

飛竜の首をそっと撫でた。


「ありがとう。」


飛竜は嬉しそうに目を細める。


義竜が静かに口を開く。


「ピクシードラゴンという竜を知っているか……。」


「いや。」


「竜と妖精の間に位置する存在……である。」

「自ら気に入った者の前にしか姿を現さぬ。」

「人が選ぶのではない。」

「選ばれる……のである。」

「へぇ……。」


AIWatchが補足する。


「ピクシードラゴンは非常に希少デス。」

「共に暮らす相手を自ら選びマス。」


幸は少し笑った。


「いつか会えたらいいな。」


義竜は静かに頷く。


「焦る必要はない……である。」

「竜は売り物ではない。」

「役場で借りる。」

「代々受け継ぐ。」

「あるいは……縁を結び共に帰る。」

「全ては心次第……である。」


幸はもう一度飛竜を見る。


「なるほど。」

「だから最初に、心を通わせることなんだ。」


義竜は口元をほんの少しだけ緩めた。


「……その通り。」

「講習修了……である。」


AIWatchが光る。


ピッ。


「登録完了しマシタ。」


「え?」


「これで飛竜を借りることができマス。」


幸は思わず笑った。


「じゃあ明日は……。」


AIWatchも静かに答える。


「地上への遺跡探訪デス。」


胸が高鳴る。


「楽しみだ。」


飛竜はもう一度、小さく鳴いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ