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セレーネ家 ②

来ていただいてありがとうございます!




ヴァシスベリル王国の闇の聖地には音楽部門と封印部門というものがある。そんなことを教科書で読んだ気がするけど、試験が終わってからは頭の片隅に追いやられてた。つまり忘れてた……。



「精霊を捉えてその力を使い、望みを叶えるのは古の呪法です。現在はその方法は封印され失われていますが、世界には永く精霊を閉じ込めた石や金属などがまだ存在しています。我々はこういったものを呪具と呼称しています」

ルネ・セレーネ様は封印部にいて呪具の回収や封印を行ってるそうだ。テーブルの上にあった割れていない方の大きな石を装飾のついた箱に丁寧にしまい入れ、鍵をかけた。じゃああの中にも……。

「酷い……」

この世界にまだ閉じ込められた精霊様がいるなんて。

「それで?呪具を回収した後に閉じ込められた精霊はどうなるのですか?」

何か考え込んでいたフィルが険しい顔で尋ねた。

「残念ながら、封印を解く方法は確立されていません」

セレーネ様は暗い顔で首を振った。

「そんな!」

「永遠の虜か」

「ただ、一つだけ解呪、解放する方法があります。不確かな方法にはなりますが」

なんだ!良かった、精霊様達を助ける方法はあるんだ!


「この世界には清めの力というものを持つ人間がいます。他の大陸では白魔法とか、浄化の魔術などと呼ばれるようです」

「聞いたことがあるな。魔法や魔術が存在する国があると」

「魔法、魔術……。火や水を操ったりできるんだっけ」

「そうだね。色々原理があって他にも様々な力を使えるみたいだよ」

呪文なんかを使って何もないところに風を起こしたりとかもできるんだよね。なんかすごい。

「凄い世界があるんですね」

セレーネ様のお家は代々そういう力に目覚める人が生まれる家系だった。今私達の前にいるセレーネ様にはその力は無いけれど、呪具の影響を受けない体質らしい。


「呪具の中の精霊は人の願いを叶える度に、その欲望に囚われ変化します。そしてやがて黒い精霊になってしまうのです」

フィルの前に座るセレーネ様は割れている指先大の水晶よりも一回り大きな黒い石をテーブルの上に置いた。

「これらを清め、精霊自身の力をとりもどし、自力で呪具から出てきてもらう。これが先程ご説明した方法になります」


「それは呪具なのでしょう?危険はないのですか?」

フィルが隣に座る私を庇うように左腕を広げた。

「長時間、体に触れていなければ大丈夫です。この石にお二人の演奏を聞かせてもらえませんか?」

「演奏を?」

「はい!先ほどの演奏の後、こちらの石は変化し、精霊が解放されました。恐らくお二人のどちらかが清めの力をお持ちだと思うんです!是非ご協力いただきたい!」

フィルは腕を下ろし、何故か私を心配そうに見つめた。どうしたんだろう?でも私の気持ちは決まってる。私にそんな力があるとは思えないけど、閉じ込められた精霊様を慰めることくらいは出来るかもしれない。

「私、やってみたいです」

「言うと思ったよ、セシリー。……わかった。一応僕もハープを準備してもらうよ」


私はさっそくさっきの光の精霊様を讃える曲をリュラ―で弾いてみた。


人間の欲の為に何年も閉じ込められて苦しかったよね。怒ってるよね。悔しいよね。悲しいよね。せめてこの曲を聞いて少しでも楽しい気持ちを取り戻してもらえたら……。


曲が進むにつれて石に変化が起こった。黒い色が薄まって端から赤くなっていく。あれ?あの石の色って見たことある!確かマーシーが持ってたのと同じだった気がする。マーシーのは同じ色でも、もっと大きかった。でもまさか……。いけない。演奏に集中しなくちゃ。


「おおっ!」

「…………っ」

セレーネさんの驚く声とフィルの息を呑む音が聞こえる。その間にも石の変化は続き、赤い色は薄まって澄んだ色になっていった。やがて完全な無色透明になりほのかに光を放つようになる。あれ?どうしてだろう?いつもより疲れた気がする。演奏を終えると頭がクラっとなってリュラ―を抱えたまま背もたれに倒れそうになった。

「セシリーっ!」

支えてくれたフィルを見上げて笑った。

「大丈夫。それより精霊様は……」

呪具だった水晶が澄んだ音を立てて割れ、光の球体が飛び出してきた。

「精霊が解放されたのか」

「良かった!」

私達は精霊様が一度天井近くまで飛び上がり、くるくると回った後、窓の外へ消えていくのを見送った。


「やはり貴女でしたか!素晴らしい!清めの力を持つ者は数多くおりますが、オルコット様ほどの力を持つ方は希少なんです!」

セレーネ様はさっきまでの穏やかさとは打って変わって興奮したように頬を紅潮させて叫んだ。

「オルコット様!是非我が国へいらしてください!きっと貴女の力によって救われる精霊が数多くいることでしょう!」

「私がヴァシスベリル王国に?」


なんか急に色々あって驚きすぎたのか、まだ頭がくらくらしちゃってる。









ここまでお読みいただいてありがとうございます!

✦弱らせた精霊を捕まえて呪具に閉じ込める(透明な石)→人間の念を込めて成長させる(赤く染まる)→望みを叶える力にする(真っ赤な石)→もっと大きな欲望が出てどんどん力を蓄える(黒くなる)→……

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