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地下の避難所に到着し、他の生徒や教師たちの喧騒に紛れたところで奏は壁際にそっと身を寄せた。

麗沙は他の怪我人の対応に追われ、今は少し離れた場所にいる。


周囲の誰もがまだパニックの余韻に浸っているその隙に、耳元のピアスに少し触れた。


『名演技だな』

「舞台に上がれるくらい?」


極力小さい声で周りに聞こえないように返す。

それでもピアスは奏の声を拾った。


『ふっ、どうだかな。それより、序列第83位の解決人が来たみたいだ』

「ええー」


解決人は基本、警察と政府が介入する協会『ファタム』に所属している。

そして今回のような件があれば協会は解決人(ソリスト)を派遣するのだ。


『まあ、頑丈な学校にに侵食獣が出ることは今までになかったからな』

「それで、誰。83位って」

『お、気になるのか~? ま、もうすぐそこに来るだろうよ』


白石の言葉の通り、地下避難所の重い防音扉が内側から勢いよく開かれた。

入ってきたのは、数人の警察官と、異様な威圧感を放つ大柄な男。

その男こそが、協会(ファタム)から派遣された序列第83位の解決人(ソリスト)だった。


奥に引っ込んでいた校長が慌てて彼らの前に出る。

だが男の鋭い眼光が、避難所にいる生徒たちを値踏みするように一通り見回した。

そのプレッシャーに、周囲の生徒たちが小さく息を呑んだ。


「......じゃあ、切るよ」


ピアスをブレザーの内に仕舞う。

「もう無事だぞ―!」と叫ぶ男を目の端に奏は生徒たちの奥へと消えた。


――――――


あの騒動から一夜が明け、何事もなかったかのように朝の光が校舎を照らしていた。

校庭の隅にはまだ昨日の傷跡がわずかに残っているものの、生徒たちはいつも通りの喧騒の中にいる。


ほとんどは昨日のうちに修復していた。

それも解決人(ソリスト)の力だろう。


そして教師たちは全員研修を受けることになった。

一年に一回の避難訓練だけでは足りないと気づいたのだろう。

昨日も、安曇先生以外は生徒の確認も行わず地下に突っ走ってきたのだから。


「お前どこにいたんだよ」


席について机にうつぶせになろうとしたとき、柊斗が奏に声をかけた。


「んー、安曇先生の近く?」

「おいおい。お前、あの美人教師にちゃっかり守られてたのか?」


柊斗は呆れたように笑いながら、隣の席の椅子を引いて腰掛けた。

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