定期テスト
その日、蒼井は朝から憂鬱だった。
朝起きて、朝ご飯を食べるために席に着いたとき、母親にテストについて聞かれ、
家を出る父親に聞かれ、
家を出るとき再び母親に聞かれたからだ。
「定期テストなんだから、勉強しなさいよ」
「特進にふさわしい点を取らないと許さないよ?」
一日に3回も聞けば十分なのに、さらに追い打ちをかけるように担任からも言われてしまった。
そのため、蒼井はひどく気分が落ち込んだまま昼休みを迎えることになってしまったのだ。
「月?」
案の定、有栖に心配されてしまった。
「何?有栖さん」
「いや、元気がないと思ってな」
蒼井はにこりと微笑んだ。
「気にかけてくれてありがとう。平気だよ」
蒼井は、手が震えているのがばれるので箸置きの上に箸を置いた。
「月、無理はしなくてもいいぞ」
「……ありがとう、有栖さん」
蒼井はけれど、打ち明けることは選ばなかった。
蒼井にとって、まだまだ有栖とはそんなことを相談できるような関係ではなかった。
けれど、今後を含めたとしても有栖をおいてほかに打ち明けるようになりたいと思える人はいないだろうとも思えた。
「ほら、いるか?」
有栖はたまたま持ってきていた果物をピックに刺して差し出した。
「ありがとう」
蒼井はそのまま果物を食べた。
いわゆるあーんということだ。
「ん、おいしい」
「……それはよかった」
有栖は幸せそうに微笑んだ。




