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きれいなひと  作者: 宵ノ雪
第一章  孤独
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目的

「有栖さん」


「なんだ?」


有栖は作業中の蒼井の隣でニコニコしている。


「本屋に来られているのに本を見なくていいの?」


「ああ。本が目的という訳ではないからな。

私の家は近所だから、来るのに手間もかからないんだよ」


有栖は尚ニコニコしている。


蒼井は有栖の膝の上に乗っている猫を見て、猫目的かと納得した。


「どのぐらいかかるの?」


「五分ほどだろうか」


蒼井の家もここから10分ほどだ。


同じ高校に徒歩通学しているので、近所に住んでいるのは不思議ではない。


「月はどうしてここでアルバイトを?」


「元々、常連だったの。その縁もあってたまたま求人を見つけて、許可されたから」


蒼井は猫を撫でながら答えた。


「…そうか。あまり、無理はするなよ。そろそろ定期テストだろ?」


「来週からは、定期テスト期間でアルバイトは休みなの。点数を下げる訳にはいかないしね」


有栖はいつもの時間に帰って行った。


「おばあさん、そろそろ店を閉めますよ」


「ああ、あの子が帰ったのかい。声がここまで聞こえていたよ」


おばあさんはいい匂いをさせながら奥から歩いてきた。


「すみません、うるさかったですね」


「いいや。いいお友達じゃないか。お客さんが他にいる時は静かにしているし、仕事にも支障をきたしていない。

何も咎めないさ」


おばあさんは器用にシャッターを閉めた。


「蒼井、友達を大切にしんさい。友達を無くしたら、きっとお前さんは動けなくなっちまうよ」


「…そうですね」


蒼井は思ったことを決して口に出さないように奥に押し込めた。


だれも蒼井と友達になろうとはしないと、蒼井にはわかっていた。

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