↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きれいなひと  作者: 宵ノ雪
第一章  孤独
PR
5/37

お礼は物ではなく

次の日、学校で蒼井は一人寂しくご飯を食べていた。


友人がいないというわけではないが、集まって喋るほど仲がいい人はいない。


過去には何人かいたが全て蒼井の両親によって縁を切らされた結果、今はほぼ一人で過ごしている。


ふと気になって後ろに視線を向けると、有栖の席は空だった。


当たり前だ。


昼休みに一人で過ごす人は少ない。


有栖も友人と過ごしているのだと判断し、蒼井は教科書を後ろに取りに行った。


蒼井は昨日助けて貰ったお礼をしたかったのだが、当の本人がいないのではお礼のしようがない。


諦めて放課後を待つことにする。



いつものようにやってきた有栖に対してお礼をしたいと申し出ると、とても驚かれた。


「私は気にしない。あれ程度でいちいちお礼をもらうのは気が引ける」


本心から言っているというのは理解できたが蒼井にも意地があった。


「私も、お礼をしないと気が済みません。なにがよいでしょうか」


しばらく悩んでから有栖は二本の指を立ててた。


「なら、二つほどいいだろうか」


蒼井は何を言われるのかと身構えながら有栖のほうをしっかりと見つめた。


「一つ目だ。

蒼井の名前の綴りはなんだ?」


「私のですか?草冠に倉、井戸の井で蒼井、下は玉兎(たまうさぎ)と書いてたまきです」


それがどうかしたのかと思いつつ蒼井は宙に書きつつ説明する。


「なら、月と呼んでもいいか?私だけの呼び名だ」


「構いませんよ」


それぐらいどうということはないと請け負った。


そもそも月とは、蒼井が小さなころ誰かは忘れたが呼ばれていた記憶のある、馴染みのある名前だ。


「それと、口調を変えてくれ。クラスメイトに敬語を使われると違和感がある」


少し視線を逸らしながらそうお願いされて、蒼井は思わず笑ってしまった。


「わかりました。時間はかかると思うけれど、努力するね」


「ありがとう、月」


有栖はニコリと笑った。


蒼井には、それが誰よりもかっこよく見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。