仲良くなる方法
次の日、何かあるのかと思って蒼井は学校にいる一日中そわそわしていた。
けれど、放課後になっても有栖からなにもなかった蒼井はやっぱりと思った。
拍子抜けすらしなかった。
蒼井にとって約束は破られるのが当たり前の物だったからだ。
そしてなにもないまま放課後になっていつものように本屋の店番をする。
「こんにちは」
「…有栖さん?いつもより早いですね」
チラリと時計を見るとまだ四時半だ。
「蒼井に会いに来たんだよ。迷惑だったか?」
首を振って作業を再開する。
先ほどの有栖の言葉が気になりつつも真面目に仕事をこなし、新刊の本を棚に入れる。
「…おい、平気か?」
「はい」
台の端に乗っていたのが心配になったらしい。
ギリギリ届く位置に本を入れて戻ろうと体を動かすと、ふわりと浮く感覚があった。
「わっ、」
とっさのことで受け身が取れずにそのまま落ちてしまう。
蒼井は痛みを覚悟して目を瞑ったが、不思議と痛みはなかった。
「おい、怪我はないか?」
下から声がしたので恐る恐る目を開けると、目の前に有栖の顔があった。
「有栖さん!?ごめんなさい、」
蒼井は有栖を下敷きにしていたのだ。
気が付いた蒼井は慌てて上から退いた。
「有栖さんこそ、平気ですか?」
「私か?これぐらい平気だ」
怪我をしていないかジロジロみられるが、蒼井は有栖の方が心配だった。
「本当にごめんなさい。助けてくださってありがとうございました」
有栖はハッとして慌てた。
「気をつけなよ。じゃあ、またな」
有栖は店から走り去っていった。
有栖の顔が赤かったことに、蒼井は気が付かなかった。




