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きれいなひと  作者: 宵ノ雪
第二章 家族
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帰り道(紫苑視点)

ひろこちゃんに呼び出されて向かってみれば、妹は泣いていた。


入りづらくて物陰から様子をうかがって、落ち着いたころにひろこちゃんにメッセージを送る。


『着いたわよ』


その通知をひろこちゃんがスマホを取り出して見て、こちらを探してあたりを見回す。


手を挙げて近づくと、やはり妹は他人に合ったときの表情をしていた。


「すみません、迎えに来ていただいて」


「いいのよ。これぐらいさせて頂戴」


妹は相変わらず戸惑っていた。


無理もないことでしょう。わたしが妹のもとから離れてから、もう10年は経ちましたから。


「はじめまして。紫苑といいます」


「紫苑さん……」


ひろこちゃんは何か言いたそうにしているが、わたくしは明かすことを望んではいない。


「送ります。どうぞ、乗って」



車に乗っても妹はわたくしにあまり話しかけてこなかった。


いや、ずっとだまってうつむいていた。


話さないのかと思ってひろこちゃんを見ても、ずっと前を向いているだけだ。


わたくしは運転することしかないけれど、そういうものなのでしょうか。


「途中で休憩しますよ。降りますか?」


「降ります」


道中の道の駅で降りて休憩をする。


流石に夜ということもあり相当暗い。


気が付いていなかったけれど、厚い雲が空を覆っている。先ほどまでは晴れていたのに、雨が降りそうな天気。


二人は降りたものの車の周りにいた。


しばらく休憩をして全員乗り込んでいざ出発というとき。


ーーーピりりり……


わたくしのスマホが鳴り始めた。


その名前を見て、目を細める。


「紫苑さん?」


ひろこちゃんが名前を見ないように気を付けながら覗き込んでくる。


仕方なく電話に出る。


「……もしもし、父さん?」


『紫苑、そこに玉兎はいるか?』


少し疲れたような父の声。


そのようなことだろうとは思った。


ちらりと妹を見てため息をつく。


「いるわよ。それがどうかしたのかしら」


父は何とも思っていないような、本当に何もない声で告げた。


『そのまま預かっておいてくれ。しばらくそいつがいたら邪魔になるからな』


「……は?」

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