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きれいなひと  作者: 宵ノ雪
第二章 家族
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ふたりめのははおや

そうしてしばらくして中学生になって、あの頃の姉さまの年を超えた。


わたしの記憶の中では姉さまはいつもあのままだ。


その日、父さまに早く帰ってくるようにと言われていた。


だから、部活も行かずにすぐに帰った。


「あれ、蒼井さん、部活行かないの?」


途中で同じ部活の先輩に呼び止められてしまった。


「はい、家庭の用事がありまして」


先輩はふーんと言ってそのまま部活に行った。


怒られなくてよかったと思ってそのまま家に帰った。


帰ると珍しく父親がいて、そういえば父親の用事だったと思いだして、家の中に入った。


「父さま、おかえりなさい」


「ああ」


父さまは相変わらずだった。


それよりも、だ。


父さまの隣にいる女の人は一体誰なのだろう。


もしかしてと思いつつ黙っていると、父さまが口を開いた。


「この人が、玉兎の新しい母親になる人だ」


やっぱりと思いながら父さまとその女の人の正面に座った。


「あなたのお父さんからいろいろ話は聞いています。これからよろしくね」


わたしには差し出された手を握らないという選択肢はなかった。



新しい母様は、もともとあまり優秀ではなかったらしい。


そのせいで何度も機会を奪われてきたのだと、そういっていた。


だからだろうか。


「部活なんてしていて大丈夫なの?もっと勉強をしたらどう?」


そう言って、部活をやめさせられた。


わたしにとっては別に苦痛ではなかったので、抵抗せずあっさりと辞めた。


けれど、それをすぐに後悔した。


「部活やってないのなら、一番になれるよね?」


そう、言ってきたのだ。


一番になれなければ無視されて、数日すればまた一番になれと脅す。


一度だけ、反抗したことがある。

それは、かあさまと呼べと強要された時だ。


「あなたはわたしのかあさまじゃないじゃん!」


「何を言うの!あなたは私の娘よ!」


あんな扱いをされていても、わたしにとってかあさまはたった一人だった。


でも、それは許されなかった。

わたしの要求など、通るはずがなかったのだ。


父さまは見て見ぬふりをしていた。


いや、当たり前だと思っていたのかもしれない。

姉さまも、同じようなことをされていたのだから。


こうなって初めて、姉さまのことが少し理解できた。


どんなに頑張っても、結果が出なければいらないもののように扱われ、もう無理だから期待しないでと思って、それでも手を抜くことを許されない。


姉さまはこんな状況だったのに、姉さまは優しくわたしの世話をしてくれていたのだ。


「姉さま、ごめんなさい」


謝っても、もう姉さまはいない。


縋ることのできない手はペンを持つしかなかった。


そして、わたしは地域で一番の学校に進学することになった。

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