27/37
ひとりになって
それから、姉さまがいなくなって、父さまと二人暮らしになった。
父さまはもともとわたしに興味がなかったのもあって、ほとんど家にはいなかった。
わたしは寂しかったけれど、それでもいいと思っていた。
だって、もう怒鳴り声が聞こえなかったから。
支えてくれる姉さまはもういないのに、耐えられる気はしなかったから。
しばらくしてから、ひろこちゃんにもう一度会いたくなって公園で待った。
何日も、何日も。
けれど、ひろこちゃんは現れなかった。
それでも明日はいるかもしれないという思いであきらめずに通った。
秋が過ぎて、冬になって、それでもひろこちゃんは現れなかった。
ある日、公園で過ごしているとひろこちゃんの声が聞こえた。
ハッとして声の方を見ると、ひろこちゃんがいた。
すぐにかけ寄ろうとして、足が止まった。
ひろこちゃんは、おばあちゃんらしき人と笑いながら遊んでいた。
ひろこちゃんが手を伸ばせばおばあちゃんはその手を握り締めていて、一緒に帰るところだった。
声をかけたかったのに、できなかった。
声が出なかった。
声の代わりに、涙がこぼれた。
「ひろ、こちゃ、」
わたしの声はひろこちゃんに届かなくて、もう涙をぬぐってくれる人も、わたしにはなかった。
その日から、あの公園には近づいていない。




