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家族
「なあ、玉兎」
ひろこちゃんが、仕事中なのに声をかけてきた。
「なに?」
「玉兎は、家族のことが好きか?」
ひろこちゃんにそう言われて、一瞬、返事をためらってしまった。
一般的には、好きと答えなければならない。
でも、わたしは……
「……はい。否定するのは、憚られるかな」
わたしの両親たちは悪い人ではないのだ、きっと。
「姉さまのことは、好き」
ひろこちゃんが少し驚いたような眼をした。
「そういえば、姉がいたな」
「覚えているの?そうはいっても姉さまとはもう、何年もあっていないのだけれどね」
なんどかひろこちゃんと姉さまは会ったことがあったはずだ。
「なぜだ?」
「言っていなかったっけ?わたしの両親は離婚していて、別々に引き取られたから。
それ以来ね」
ひろこちゃんはたいして驚いているように見えなかった。
どこで驚くのか、スイッチが謎。
「すまない、踏み込んでしまって」
「いいよ。ひろこちゃんには、知ってもらいたかったことでもあるし」
ひろこちゃんは笑ってくれた。
その日の帰り道、わたしは昔のことを思い返した。
もう、断片しか覚えていないけれど。
夏休みは時間感覚が狂います。




