なかよし
次の日、いつも通り有栖は蒼井に話しかけないまま昼休みになった。
蒼井はご飯を食べようと思って有栖を探したが有栖はどこにもいなかった。
有栖を探しに行こうかどうしようかと迷っているとクラスの人が話しかけてきた。
「蒼井さん、一人?」
「はい」
蒼井は彼女が誰だったか思い出せない。
同じクラスなのだから名前は聞いたことがあるはずだが、さして交流があったわけではない。
「一緒に食べようよ。おいで」
手を引かれるが、蒼井はそれをやんわりと外した。
「ごめんなさい、もう食べてしまったので」
そう伝えると、彼女はやっぱりとでもいうようにうなずいた。
「有栖さんがね、蒼井さんと話してやれって言ってきたの」
「有栖さん、が?」
蒼井は、有栖がどうしてそんな行動をとるのか理解できなかった。
来なくてもいいと言ったのは有栖さんの方なのに、そうする理由がわからなかった。
「二人、とっても仲良しなのに何かあったのかなーって思っちゃって。
あ、私が有栖さんに言われたってことは、有栖さんには内緒ね」
「私たち、仲良しに見えますか?」
彼女は当たり前と言いたげにうなずいた。
「とっても。違うの?」
「ありがとうございます」
もう一回、仲良くなりたいと思っているのに気が付かれないように顔を伏せた。
「そうやって身を引こうとしないでよ」
顔を上げると、彼女は苦笑していた。
「有栖さん、必死だったよ。
小学校の頃同じ学校だったけど、私は有栖さんが誰かと仲良くしようとするところとか見たことなかった」
あの有栖がそんな人だったとは思わなくて蒼井は驚いた。
「一人がいいなんて嘘でしょ。有栖さんのところ、行ってあげなよ」
彼女はそう言ってひらひらと手を振った。
取り残された蒼井は、どうすればいいかわからずに立ち尽くしていた。




