雨はやまない(有栖視点)
「やっほう」
「つき!いらっしゃい!」
それから私たちはよく会うようになった。
「つき、今日は何をする?」
つきはその日によってずいぶんテンションが違った。
落ち込んで泣きかけなときもあったし、にこにこうれしそうなこともあった。
その日によって変えるのは大変だったけど、つきがいてくれるというのは励みになった。
「かくれんぼの続きやろう!」
「わかった」
二人で日が暮れても飽きずにいつまでも遊んだ。
いつも先に帰るのはつきだった。
つきの姉が迎えに来るから、私はいつもその姿を見送った。
そしてさらにしばらくして真っ暗になってから公園から帰った。
家に帰ってもだれもいない。
ばあばはいつもどこかに行って忙しそうにしているから、家ではほとんど一人。
「あしたはなにをしようかな」
おやつを買いに行こうか、道に花が咲いていたからそれをもっていってあげようか。
わくわくしながら、眠りについた。
あいにくの曇り空だったけど、いつものように公園に行ってつきをまつ。
予報では夜から雨らしい。
「あ、ひろこちゃん」
いつもよりつきが来るのが遅い気がするけど、どうしたのかな。
そう思ってつきのほうを見た。
「いらっしゃい。なにする?」
今日はなんとなく、つきの元気のない日な気がする。
「つき?」
反応がないつきをのぞきこむ。
「ひろこちゃん、ごめん」
いきなりあやまってきた。
「どうしたの?」
「とうさまとかあさまが、遊びに行くなっていったの。だから、もうこれないの」
ぎゅっと下を向いたままのつきの声はなきそうだった。
「いっしょにきてるの。だから、すぐかえらないと。
ごめんね」
慰めようとすると、すっとよけてしまった。
「つき、」
「ひろこちゃん、じゃあね」
つきは、振り返らずに角を曲がってしまった。
ぼんやりしていると、ぽつっと頬に水滴がついた。
しばらくそのまま立っていると、さあさあとうっとうしい雨がふってきた。
雨は、夜になってもやむことはなかった。




