うしなったものは(有栖視点)
~~~~
朝起きると、父さんと母さんがいなかった。
「とうさん、かあさん、どこ?」
呼んでも出てこない。
家じゅうを探してもどこにもいない。
とうとう泣き出してしまったが、それでもどこにもいない。
そうしてしばらくしたころ、ばあばがやってきた。
ばあばはひどく慌てていて、息を切らせていた。
「ひろちゃん、お父さんとお母さんがいなくなった」
ばあばはそう言って私を抱きしめて、ばあばの家に連れて行った。
「とうさんとかあさんはどこ?」
「もう戻ってこないんだよ。
これからは、ばあばと暮らそうね」
ばあばが言ったことは理解できなくて、しばらくしたら戻ってくると思っていた。
けれど、そうではなかった。
何日も経っても父さんと母さんは一向に戻ってこなかった。
子供にとって、数日というのはとても長い時間だ。
待ち続けていると余計にそれを感じる。
ばあばは家にいないことが多く、寂しさを聞いてもらうこともできなかった。
仕方なく公園にいても、みんな有栖よりも早くに帰ってしまう。
その日もみんながいなくなった後も公園にいると、運悪く雨が降ってしまって家に帰れなくなってしまった。
帰ろうにも帰ってもだれもいないし、どこかに行くにも行く当てはない。
仕方なく遊具の下で雨宿りをしていた。
雨のせいで誰もいないし、電池が切れたのか街灯の光もない。
ざあざあと雨が降る中で一人うずくまっていると、ふと雨をはじく音がした。
顔を上げると、傘を差した同い年ぐらいの女の子がいた。
「だれ?」
ざあざあと、雨が降る音がやけに大きく聞こえた




