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仲良くなるということ
「怖い、です」
「怖い?」
蒼井は膝に置いた手の汗が気持ち悪くて服を握りこんだ。
「誰かと、親しくなるのが、怖いです」
おばあさんはただじっと蒼井の言葉を待っている。
「親しくなっても結局離れてしまうから、それなら親しくなりたくないって、思ってました」
蒼井は教えられたことを守って過ごしてきた。
だから、親しくなる方法がわからない。
『私は月と過ごすのが楽しんだよ』
「有栖さんが、どうして拒絶したのか、わかりません。
でも、知りたいです。仲直り、したいです」
怖いと思っているのに、どうして。
抑えきれなかった涙が、はらりと零れ落ちる。
それを止めるすべを、蒼井は持っていなかった。
「そうかい」
おばあさんは、蒼井の隣に座りなおした。
「大切な人を作るっていうのは、怖いよな。
大切な人がいつまでもそばにいられるとも限らんし、傷付けられることもある」
おばあさんはただ隣にいた。
青井を否定せず、一人で、けれど蒼井に寄り添ってしゃべっていた。
「ここでは、好きなだけ泣いてええよ」
ただシャッターの隙間から差し込む光が、二人だけの本屋を照らしていた。




