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きれいなひと  作者: 宵ノ雪
第一章  孤独
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仲良くなるということ

「怖い、です」


「怖い?」


蒼井は膝に置いた手の汗が気持ち悪くて服を握りこんだ。


「誰かと、親しくなるのが、怖いです」


おばあさんはただじっと蒼井の言葉を待っている。


「親しくなっても結局離れてしまうから、それなら親しくなりたくないって、思ってました」


蒼井は教えられたことを守って過ごしてきた。


だから、親しくなる方法がわからない。


『私は月と過ごすのが楽しんだよ』


「有栖さんが、どうして拒絶したのか、わかりません。

でも、知りたいです。仲直り、したいです」


怖いと思っているのに、どうして。


抑えきれなかった涙が、はらりと零れ落ちる。


それを止めるすべを、蒼井は持っていなかった。


「そうかい」


おばあさんは、蒼井の隣に座りなおした。


「大切な人を作るっていうのは、怖いよな。

大切な人がいつまでもそばにいられるとも限らんし、傷付けられることもある」


おばあさんはただ隣にいた。


青井を否定せず、一人で、けれど蒼井に寄り添ってしゃべっていた。


「ここでは、好きなだけ泣いてええよ」


ただシャッターの隙間から差し込む光が、二人だけの本屋を照らしていた。

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