そばにいる理由(有栖)
今日は散々だった。
家に帰ったらいつも洗濯物をたたむのだが、選択物干しざおが倒れ、それを直していたら5時を過ぎ、慌てて買い出しに行ってから本屋に行くともう閉店間際。
きちんとみだしなみを整えて蒼井に会えるというワクワクを表情に出さないように顔に力を籠める。
入口に手をかけると、中から蒼井の声がはっきりと聞こえてきた。
「別に、来てほしいとおもっていないので」
蒼井がそう言うのを聞いて、こらえきれなくなって店の前から走り去ってしまった。
「……そうだよな」
何も買わずに居座り続けるだけなんて、店側からしたら迷惑に決まっている。
以前、ようやく仲良くなれたと調子に乗ってしまったのがとても悔やまれる。
以前のように本屋でないと会えないというわけでもないし、無理に本屋に行く必要もないが……
「蒼井は、私と話したくはなかったのか?」
もしそうなら、身を引かなければ。
蒼井が嫌がるようなことは、決してしたくない。
本当は、私が与えられるだけのものすべてを与えてやりたい。
蒼井がそれを望まないのなら、無理強いはしたくない。
手の中に入れて、出したくない。
もう二度と失いたくない。
自由に過ごしてほしい。
「蒼井……」
身を引かなければ。
でもその前に、もっと一緒に過ごしていたい。
(父さん母さん、どうすればいいんだ?)
けれど相談できる相手などはこの家にはいない。
ひとりで生きていかなければならない私は、一体蒼井のために何ができるのだろう。
私のできるすべてを差し出そう。
そして、もうかかわらないでおこう。
展開早いですね……




