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第7話 - 入団試験 前編 -

"お前なんかが受かるわけがない"


試験会場に向かう中、あいつらの言葉を思い出した。思い返しても腹が立つ。受かったらどれだけ惨めか、思い知らせてやる。


そんなことを考えていると、いつの間にか騎士団本部に到着し、第4講義室という場所に入った。周りを見渡したが、知ってる奴は1人もいなかった。まぁ、学校に知り合いはほとんどいないのだが。


ただ、どうやら立花とヨミは別の部屋らしい。変に緊張しすぎていないといいんだが。


あいつらの心配をしていると、ローブを着た男が入ってきた。口を開くと、一気に世界が変わった。


「さっさと座れクソガキども。今から一言でも喋れば即失格だ。ここはそういうところだ。不満があればとっとと帰れ。」


俺は勘違いをしていた。国の英雄だから、きっと品も高い。少し裏切られた気分だった。


静寂な空間で、試験官が続けた。「聖騎士団ホーリーナイツの入団試験は、適正試験、身体測定、実技試験の3つだ。適正試験はまぁ形だけだな。どんなバカでも受かってるやつは山ほどいる。ただ身体と実技は話が別だ。ここでほぼ決まると思っておけ。うちは強ければ大体OKだ。まぁ先輩としてのアドバイスだが規則を守れねぇ奴は痛い目見るから気をつけろ。」


強さが全てってわけか。


「じゃあ、適正試験から始める。時間は90分だ。」


いよいよ試験が始まる。それにしても心臓の音がうるさい。緊張してんのか?落ち着けよ。


「始め。」


紙の音が響きわたる。紙をめくると、英語、国語、数学、法律の問題がずらりと並んでいた。


ただ、レベルはそんなに高くない。こんな俺でも解けそうと思えた。


そこから90分はあっという間だった。分からないところもあったが、全部出来てホッとした。


「止め。そのままグラウンドに集まれ。」


休憩なしかよ。少し疲れたが、すぐにグラウンドに向かうしかない。失格させられるわけにはいかない。


グラウンドに着くと、変なリストバンドを渡られ、つけるように指示された。


「次は、身体測定だ。まずは能力から。このリストバンドをつけて、順番に超越能力エナジーを100%で出せ。そうすればリストバントに数字が表示されて、お前らの実力が分かる。」


ついに能力測定か。自信はないが、少しでも食らいつきたい。


「まぁ、2000くらいならギリ足でまといレベルだな。番号を呼んでいくからスムーズに頼む。じゃあ4000番から。」


「はい!」


そいつが手首を抑えると、バチバチと火花の音が聞こえた。どんどん、青い稲光が広がっていく。


なんだ?雷か?


天に昇った雷は、豪快な音とともに地面に叩きつけられた。


やっぱ持っている側は、ずるいな。


その後、20秒づつくらいで次々と能力を披露していく。俺の番に近づくにつれ、息がしづらい。


「次、4256番。」


「はい!」


ついに俺の番。一気に心拍数が上がる。


能力の出し方なんて知らない。今はとにかく力を入れてみるしかない。


でも、リストバントの数字は0から動かなかった。


「早くしろ。」


「...はい!」


やばい。早く何とかしないといけないのに、リストバンドの数字が全く動かない。


震えた手を押さえつけ、言葉を吐いた。


「...ありません。俺には能力がありません。」


試験官は何も言わず、ただ冷酷な視線で、俺を見つめていた。あぁ、またその目か。怖くなり、慌てて視線を外すと、試験管の声が静寂を切り裂いた。


「次、4257番。」


「はい!!」


終わった。結局、能力主義かよ。


落胆して待機列に戻っていると、全員がこっちを見ていた。絶対こいつよりは出来るって思ってやがる。


何か言い返してやるとも思えなかった。


そこから吹っ切れたのか、他の奴らのレベルが一気に上がったように感じた。俺は色んな能力をただ見つめ続けた。


気がつけば能力測定が終わった。


「次は、体力測定だ。まず10kmと200mのタイムを計る。その後、そこのミットを殴って筋力を計る。そして球を避けて瞬発力を計る。その後に最終試験の通過者を発表する。」


こんなところで終わったら、あまりにもダサすぎる。あの頃と何も変わってないじゃないか。何より、次どんな顔で立花に会うんだ。


嫌だ。


俺はこんなもんじゃないだろう。


10km走が始まった。俺はいきなり先頭に躍り出た。


もっとだ。もっとペースを上げろ。足なんてここでぶっ壊れてもいい。


どんどん、加速していく。もう随分後ろと差がついた。


ペース配分をミスった奴だと思われるだろう。ゴール出来ずにぶっ倒れるかもしれない。でも、今はその方がマシだ。


そのまま、遅いやつらを何回も抜かした。俺は誰よりも自由に走り切った。


200m走が始まった。


とにかく強く地面を蹴れ。もっと細かく。もっと強く。


トップスピードに乗ったまま、俺がゴールテープを切った。


次は筋力テストだ。


散々俺を嘲笑ってきた奴らがミットに見える。舐めてんじゃねぇ。


渾身の力を振り絞ってミットを殴った。支えていた機械が、鳴きながら大きく揺れた。


最後に瞬発力テスト。


なんだこれ?弾が遅い。こんな簡単でいいのか?他の奴らはみんな当たってる。そんなに疲れているのか?


そこで、全ての測定が終わった。


「では、最終試験の通過者を発表する。各自リストバンドを確認しろ。」


周りの連中は息を荒くし、顔を上げることすらできていない。俺と試験官だけが目を合っていた。


俺は祈りながら、リストバンドを見た。


"通過"


ーーその時、真っ先に立花の顔が浮かんだ。


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