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消えた声
冷たい風 今日はまた
一段と強く感じるんだ
きみは涼しい顔して澄ましている
こんな雪が降る季節に
世紀末の叫びのような震えが
この身に沁みて来る
寒い 寒い
冷たい 冷たい
急げ 急げ 急いで
その開けっぴろげのドアを閉めろ
どうしたの
すきま風をすべて防げない
締め切った部屋で暖を取ろう
指先凍てついて
なにも上手くいかない
夢じゃないよな
頬をつねろうか
指先うごかない
だけど頬は温かい
凍ったような手に息をかけ
暖炉の火にあたる
水も電気も途絶えている
記憶していたきみの笑顔
美しいまま横たわる
生きていたころの
夢をまだ見てるのか
雪山の小屋
救助むなしく
呼びかける声が
呼びかけるぼくの声は
きみのレクイエムと消えた




