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アマテラス
いまはもう裸足で歩けないけど
ぼくの心は素足のまま あの日のまま
君のもとへ飛び出していく
かげろうのようだった
ふたりの一夜をうばい去ったのは
時空の鏡を夜に合わせたからさ
だけど時は戻らないし戻せもしないよ
地底の果てまで行けばまた逢えるだろう
約束の大地に再会の扉をぼくが
打ち立てるその日は近い
わすれていたのさ ツキを呼べること
眠らせていたのさ 暦を数えるシゴト
人の世に降りて 覚えた夜遊び
華の蜜に溶かされて舞う 蒼い蝶に身をやつし
甘い香りの君の白いうなじに誘われて
挙句 挙句 挙句の果てに現世を枯らせた
時間の歪に飲まれるように
時代に時代を飛ばされて
気象は衛星
暦はデジタル
いらないぼくは絶句する
失われたのは楽園じゃない
民の涙に流されて飛ばされたんだぼく
雨にも雪にも負けない硬さを生み出し
クリスタルのような固いアスファルト
ダイヤゴールド煌めくタワー
夜明け前にきえた君のすがた
ともに過ごしたいにしえの物語
淡い記憶 瞳の奥で
くすぐったい温もりになって
うつしよの愛をすべて遠ざけていく
どんなに手を伸ばしても
夢の中で交差するだけのふたり
鏡をさがして君の世界へいきたい
鏡に映る自分の姿になみだを落とす
不思議な蝶は いまや高層宿の名物
その名は アマテラス!




