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だとしても
たいくつな日常
つまんないこの街
見慣れた人混みと
へそ曲がりのような雑踏
しみったれの十代
くそったれの十字路
そこまではいつもの
なにげない散歩みち
十字路はその昔
当て逃げをされた
胸糞わるい凶の辻
くじいた足に後遺症という名の
バクダン抱えて
モタモタのろのろ
そんなゴミスキル
運命に押し付けられたのさ
少し前を歩く青年
おれの足止めたもの
一冊のペラいノート
拾い上げ声をかけた
手渡してやるとそいつはおれに
きみにあげるよ
その足を不自由にした
やつら呪える
呪術のこもる悪夢のノートだと
一瞬 開こうとした
やられたからやり返していいのか
おれはそいつに馬鹿にするなと
向き直ったらやつの姿
どこにもなかった
ふざけんじゃねえ
行き場のない怒りで
ぶん投げていたノート
十字路にさしかかる車のミラー
みごとにへし折っていた
ハンドルを握る男の目が光る
うそだろ うそだろ
有無を言わさず半身をなくした
みじめに地を這いつくばる
おれの指先に覚えある感触
悪夢のノートにぎりしめ
病室の車いすのうえで
息絶えるまでそこに
おれの名を刻みつづけたよ
呪術が真実だとしても
青春の刻はもどせない
はじめの事故のときも
楽して稼ぎたい
当たり屋のおれの自業
尽きることのない
懺悔の時間だけは
たっぷりと残されている
たっぷりと残されている
・・・
読みに来てくれてありがとうございます。




