かがり火
きのうまでずっと泣いていた空よ
灰色の未来しか唱える者がいなかった大地よ
おおきな風がびゅうっと
空と地平をつなぎとめるように
広大な草原の豊かな緑を
気持ちよくなぎ払ってくれた
すっかり陽が落ちて
人影どこにも見当たらない夜
生き抜いて一人になれば…
門限もなくて
いつまでも どこまででも
星が降るのをじっと待っていられる
いつか見たんだぼくら星降る夜空
どんな願いもかならず一度だけ叶うって
大好きなあの子と屋根の上で祈ったんだ
月明りに映える草露
かくれる虫の声そっとさがした
水たまりのせいで足音ひろがり
野鳥が機嫌をそこねて飛び立った
ふと静寂に包み込まれ
孤高の風を知り
闇夜に呼吸を合わせるように浅い息をふっと吐く
美しかった緑が今もほんのりと広がる
色づく木々の葉 あたたかだけど
暖炉の前で揺らめいていた炎が
時折り 恋しくて…
遠くに見つける
かがり火のような煌めき
目を見開き 心躍らせて
ハヤブサのように一気に駆け抜けてやる
戦禍に飲まれた家々をかなぐり捨てて
星降りの夜 待ち遠しくて
屋根の上にばかり登るようになって
あの日も…街一番の見晴らしの
時計台の頂に座り込んでいた
ぼくだけが難を逃れた奇跡の意味
どうか
どうか…これが
再び巡りあうための試練であるのなら
キミの願いも届いているように
隣り合わせで願いを込めた静かな笑みを
どうか
どうか…もう一度
かがり火のように
光る場所で
ひときわ目立つ
高い場所で
ずっと待っているから
ぼくに星を望むこと勧めたキミなれば
見つけられないはずもない
キミの願いが届くようにと
ぼくは願ったのだから
・・・
読みに来てくれてありがとうございます。




